予測が働いている
他にもあります。
たとえば、 I need help と耳にしたら、その瞬間に「この人は助けを必要としていて、この後にどんな助けが必要なのかについての説明が続くんだろうな」という予想・期待・シミュレーションが働いていないと、文脈を追いかけるのは難しくなります。
一通り文が出そろってから、その文の構文を「解析」するような静的な態度では、やっぱり間に合わないのです。
ほとんどの探偵は、事件が起きてからその証拠を集めて事件を解決するわけですが、そのような探偵的態度では、英会話に参加することはスピード的に無理があります。そうではなく、リアルタイムで状況に参加し、次に何が出てくるかを予測しながら「話を聞く」ことが必要なわけです。
実際、自分が日本語で話しているときも、そのような「予測」が働いていることが感じられます。一字一句をその通りに処理しているのではなく、「次にこういう情報が来るだろう」という予測があって、それに合う形で処理しているからこそ、かなりの高速でやりとりを交わすことができるようになっているのでしょう。
異なる形での学び
という感じで、これまで文字の読み書きばかりで勉強していたことを、耳からも学んでみたことで新しい発見が得られました。
これは別に耳から学ぶことが偉い、ということではなく、異なる複数の手段で学ぶことで多角的に学べるよ、という話です。
なので普段一つの方法でしか学んでいないなら、たまには別の方法にチャレンジしてみることをオススメします。たぶん「学ぶこと」そのものへの理解が拡がっていくでしょう。
(メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』2025年4月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご登録下さい、初月無料です)
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