“新ノストラダムス”も「7の月」予知夢に共鳴。たつき諒氏「2025年7月5日大災害」を拡散する預言者たちの言説を徹底検証

 

SNSに上がった多数の「批判的思考」の欠落した声

◎ 総括:2025年終末論ブームとデジタルメディア

2025年7月へのカウントダウンは、不安と好奇心を燃料に、エンターテインメント、スピリチュアル、疑似科学、陰謀論が交錯するエコシステムを形成している。

今回、たつき諒氏の予知夢を起点に20の共鳴者(ジュセリーノら10者+松原照子ら10者)たちを検証した結果でも、ブームは多様な背景を持つ人物や媒体によって支えられていることが明らかになった。

ジュセリーノや保江邦夫は疑似科学的装いを、不思議探偵社やコヤッキースタジオはデジタル拡散力を、アナンドやSHOGENは若者文化を、月刊ムーや日月神示は歴史的文脈を、クレイグ・パーカーやババ・ヴァンガは国際的・伝統的預言を、ザ・シンプソンズやイルミナティカードはポップカルチャーと陰謀論を提供し、松原照子や江原啓之は知名度で、木村秋則やのぶみはスピリチュアルと大衆的訴求力で、ザ・エコノミストは期せずして科学的権威を寄与している。

やや結論的にいえば、20の共鳴者たちに共通しているのは、デジタルメディアによる拡散力とその影響力の拡大である。

果たして、予言ブームの拡散を支えるのは、YouTubeやSNSといったデジタルメディアだ。たとえば、不思議探偵社やコヤッキースタジオの動画は、たつき氏の予言を視覚的に解説し、アルゴリズムによって関連コンテンツが次々と推薦される仕組みで、視聴者を深みに引き込む。ジュセリーノやアナンドの発信も、翻訳機能や字幕を通じて国境を越え、グローバルな共鳴を生んでいる。

TikTokでは、15秒のショート動画で「2025年7月がヤバい」と煽る投稿が若者を中心に拡散され、バイラル効果で数百万回再生を記録。Xでは、短文で不安を煽る投稿がリツイートされ続け、情報は無限に広がっているかのようだ。

こうした増幅効果は、メディアの特性にも起因する。

YouTubeの収益化モデルは再生回数に依存し、センセーショナルな内容が優先される。不思議探偵社の「2025年Xデー」動画は、クリックを誘うサムネイルと誇張したタイトルで視聴者を惹きつけ、広告収入を増やしている。一方、視聴者はアルゴリズムの「エコーチェンバー」に閉じ込められ、予言関連の情報ばかりが目に飛び込む状況が生まれている。

テレビ東京の『やりすぎ都市伝説』は、マスメディアとしてブームに参入し、たつき氏の予言をエンターテインメントとして消費する層を拡大する役割を果たした。関暁夫の劇的な語り口とBGM等の演出は、視聴者の感情を揺さぶり、「何か起きるかもしれない」という恐怖感を植え付ける。

しかし、実は、番組では科学的検証はほとんど行われず、視聴率を優先したストーリーテリングに終始した感が否めない。近年の予言特集でも、たつき氏の「東日本大震災的中」を強調しつつ、失敗例や懐疑的な視点を省いたような番組構成になっていた。

このような予言のエンターテインメント化は、視聴者の都市伝説を「楽しむ」姿勢を助長する一方で、不安を煽る副作用も生んでいる。放送後のSNSでは「関さんが言うなら本当かも」というような批判的思考の欠落した声が多く上がり、メディアの影響力が現実認識を歪めるケースとなっている。

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