衆院議席は「れいわ」にも及ばず。凋落の一途をたどる日本共産党が迎えそうな国会でのミニ政党化

 

共産党に求められる楽観論ではない構造的分析と総括

東京都議選の論戦で野党第一党の19議席を誇っていた共産党だったが5議席減の14議席に終わった。昨秋の衆院選比例区と比べて約11万票増えたとするが、その比較は間違っている。なぜなら議員個人が選挙区で顔と名前を出して活動する選挙の方が得票がずっと多いのは選挙分析の基本だからだ。

細かくいえば選挙区ごとの比較が必要だが、前々回、前回の全得票よりも減らしている。2017年は77万3,722票、2021年は63万158票、2025年は48万7,403票、得票率は9・33%だった。8年間で28万6,319票も減らしている。

2017年は13年の17議席よりも2議席増えて19議席。21年も19議席だったから「半世紀ぶりの歴史的快挙」と絶賛した。自己評価で「善戦」「快挙」とするのはいいが、17議席から19議席に増えたのが「歴史的快挙」だったと評価したのだから、その基準で見れば、5議席減の14議席は「惨敗」だ。

ところが田村智子委員長は「全体として善戦健闘をした」と語った。自己認識だからそれはいい。だが都議選から1か月後の7月20日に投開票される参議院選挙で東京の比例区目標は100万票。1か月で得票を2倍にするなど不可能だ。

国民民主党や排外的政党の登場で、政党間の争いは複雑さを増している。だが103年の歴史をもつ共産党の衰退がなぜとまらないのか。現実を直視し、打開策を打ち出さなければ、苦境からの脱出は困難だ。楽観論ではない構造的分析と総括が必要だろう。

1984年に古在由重が離党届けを出したのに認められず除籍になってから、本人が沈黙を続けたので、党内も世間もその事実を知らなかった。それから6年後に古在が逝去し、『赤旗』が訃報を出さなかったことがきっかけで社会問題となり、6年前の除籍を公表しなければならなくなった。『週刊朝日』は「死者に鞭打つ」と批判した。いまならどうだろう。古在由重は沈黙したが、親しいごく周辺には語っていたから即座にネット情報として広まり、「炎上」しただろう。

いまや除名や除籍された者たちは、ネットで自分たちの主張や経験をいつでも社会に向かって発信できる。この数年に起きた除名、除籍問題の当否はここでは問わない。問題はネット時代の組織論だ。

匿名アカウントで共産党批判を行った党員を組織は追うことができない。それでもプロフィールから人物を特定して説得し、反省しない者を除籍することは起きているようだ。

組織の純化路線で現状を打破できるのならいい。それではさらに先鋭化して先細りしていくのではないか。たとえばある除名事案では、組織から呼び出され、党の組織人があらかじめ用意されていた「罪状」を読みあげ、最後に「あなたを除名します」と通告した。

党員に対する最高処分である除名は、規約に明記されているように、丁寧に何度も言い分を聞いて、最終的判断として行われてきた。その歴史が破壊されたケースがある。あまりにも乱暴だ。

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