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■共産党のプラスになるとはとても思えぬ「汚い応酬」

ネット時代の組織論はいかにあるべきなのか。情報発信のツールがパソコン、モバイル、スマートフォンなど、個人の手の中にあるように、共産党でもそれを制限することは困難だ。

自民党、立憲民主党など各党の幹部も党員も支持者も自由に思いを発信している時代に、共産党だけが異論に対して「規約違反だ」と認定して、人物を特定して除籍処分していくのは、もはや時代に合っていないのではないか。

ネット時代以前から基礎組織を超えた党員同士の相談は分派だと厳しく咎められた。しかし人間関係のなかで、知人同士の交流は当然にありうる。それが分派であるかどうかの認定権限はかつてもいまも組織にある。そうはいえどいまも民主集中制を基本原則に置いている組織としてどう対処すればいいのか。

いま共産党のあり方について党の内外から批判的な発信が行われている。熱心な党員や支援者は、幹部が自制している一方で、口をきわめて批判者を攻撃する。外部から見ていると共産党をめぐっての汚い応酬に見える。それが共産党のプラスになるとはとても思えない。

総じて政治家のSNS発信は公式的に過ぎて面白くない。無味乾燥だ。共産党国会議員が捨て台詞よろしく「ひとこと批判」の言葉をネットで投げつけるのは、理論と言葉の政党に相応しくない。

かつて田村智子副委員長(当時)が実感に基づく自己流の選挙総括をしたところ、すぐに削除した。「指導」が入ったのだろう。他党にはあまりない現象だ。

共産党はよく「金太郎飴」と揶揄されてきた。どこを切っても同じ顔が出るように、誰もが同じことを口にする。人間ゆえに本来は個性豊かで、しかも社会変革を願う誠実かつユニークな人たちの集団だ。それが組織の枠にはめられると、個性が透明化、画一化していく。

X(旧Twitter)以前のネット掲示板時代、共産党幹部もパソコンを駆使していたが、そこに書き込むことはなかった。活字での批判に対しても基本的には無視で通した。社会党との統一戦線論争や自民党、公明党、民社党の反共攻撃には署名論文で堂々と反論した。発言にはじつに「重み」があったのだ。

かつては政策委員長だった上田耕一郎が全国の国政候補者を集めて演説についての実践的講演を行ったことがある。不破哲三が党本部で「理論家養成講座」を開いたこともあった。その蓄積は継承されているか。外部からは断絶したと見える。

いまではネット言論(表現)対策も本気で行うときだろう。時代に求められる課題に果敢に取り組むのが103年の時間に共産党に関係した党員、元党員、支援者に対する現執行部の歴史的責任である――(本記事は有料メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2025年6月20日・27日号の一部抜粋です。「日本共産党は再生できるか(下)」は7月4日配信号に掲載されています。続きをお読みになりたい方は、初月無料の定期購読にご登録の上お楽しみください。このほか、1ヶ月単位でバックナンバーもご購入いただけます)

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ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。1995年から2007年まで、日本テレビ「ザ・ワイド」に12年間レギュラー出演。2010年には民主党から立候補、参議院議員となり、北朝鮮拉致問題、差別、ヘイトスピーチ問題などに取り組む。「北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実」(集英社新書)、「改訂新版 統一教会とは何か」(大月書店)など、著書多数。

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