フジテレビが提供したコンテンツの遺産、文化的効果を思う時、よい影響をもたらしたものとして挙げるべき番組であり、障がい者向けの学びには参考になるスタイルを示しているのが、なるほど・ザ・ワールド、である。
未知の文化との遭遇が、本人や周辺がそれを「面白い」との思いとともに共有された事実は肯定的な評価が伴い、このあらたな知識の獲得は経験を豊かなものにする。
この番組の私の解釈は、支援が必要な方向けの「メディア論」に生かされている。
実際のニュースを取り上げながら、初めて出会う社会や世界のあれこれを一緒に考え、クイズ形式で学校ごとに考えてもらう内容は集団における合意形成を学ぶのにも有効との報告も得ている。
今期は最近のニュースを取り上げて、よりニュースに近づいてもらう、身近なものだと考えてもらうために、画像を見せながらクイズを展開した。
例えば、イラン、イスラエルの争いを説明しながら、画像で「イスラエル料理」「イラン料理」を見てもらい、どんな違いがあり、料理の違いから、どんな文化的背景があるかを話していく。
バチカンの教皇選挙に関連しローマ法王の冠はどんな形をしているかを考える、など。
この講義で学びを「面白い」と思ってもらうことは重要で、押し付けではなく、自発的に学ぶことにつなげるための時間とも考えている。
だから、講義の後半では、学校ごとに自分たちが気になるニュースを発表してもらった。
私にとって「なるほど・ザ・ワールド」は小学校高学年になると見なくなってしまったが、それは自分で好きな本を読んだり、音楽を聴いたり、自分なりの「なるほど」を得られる機会を見つけたからだと思う。
この入口は多様性を考える今でも、海外に出かける際にも、大事なメンタリティを養ってくれた。
他国や異文化という未知なるものを知ろうとする好奇心を育てていくのに偏見は厳禁だ。
ジャーナリスティックにやさしく「なるほど」を共有したい。
どの国も、人も、「ファースト」という形容詞を付ける前に、一緒に生きていくためにどのようにしたらよいかを含めて。
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