「台湾有事は日本有事」というバカ話に踊らされる人々。根拠なき憶測をタレ流す日本メディアと自称専門家が堕ちる地獄

 

「日本をたぶらかし手玉に取る」という米国の思惑

言うまでもなく、1979年の台湾との断交に伴って成立した米「台湾関係法」によって、米国は、台湾が十分な自主防衛能力を維持することが出来るだけの量の軍事物資及び軍事サービスを提供することが規定された。同法は、米国に台湾防衛の義務があるとは言っていないが、台湾防衛に必要な軍事能力を維持しることを謳っていて、そこにいわゆる「戦略的曖昧さ」が宿る。

米国の一部には、増大する中国の脅威に対抗するには、もっと公式的で明確な台湾防衛へのコミットメントが必要だとする見解があるが、「戦略的曖昧さ」を維持すべきだとする主流派は、中台双方に自制を求めつつ、台湾が防衛力強化に励むことを促すというこれまでの政策を続けるとしている。

その観点からキャンベルが示唆する第3のポイントは、歴代の米政権がとってきた「非対称的」防衛戦略(「ハリネズミ」防衛戦略とも呼ばれてきた)を継続することである。

これは、中国軍が簡単には台湾を支配し併呑することが出来ないようにすることを目標とするもので、具体的には、対艦ミサイル、機雷その他の小型で移動しやすく、相対的に安価な兵器の組み合わせで中国の水陸両用部隊による上陸侵攻作戦を封じることを主眼とする。

台湾政府はこの方策を一応是としてきたが、台湾軍部にはもっと本格的なジェット戦闘機や大型軍艦が必要だとする議論もある。しかし、台湾海峡で戦争が起きた場合に米国が台湾を支援するのかどうか、支援するとしてもどのように、そしてどれほどの期間にわたって支援するのかは実ははっきりしていない、と彼女は指摘する。

ここが重要なところで、本当を言うと米国自身がどこまで台湾防衛にコミットするのかを長い間、決めかねていて、それにもかかわらず愚鈍な日本をたぶらかして高額武器を買わせたり、米軍の負担を一部でも肩代わりさせようと手玉に取ろうとしているのである。

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