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水に呪われた中国。相次ぐ水害という“帝国崩壊の予兆”を恐れる習近平が“終身皇帝”の座から引きずり下ろされる日

ここ数年来、大規模な水害に襲われ続けている中国。今年も北京や上海といった大都市が大きな被害を受ける事態となっています。その原因はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『富田隆のお気楽心理学』では著者で心理学者の富田さんが、中国共産党が招いたとも言えるその要因を解説。さらに習近平国家主席が水害を恐れているであろう理由を、中国の歴史を紐解きつつ推測しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:王朝沈没

王朝沈没の予兆か。中国を襲う大水害が示す未来

相変わらず「真夏然」とした猛暑が続いておりますが、あなた様におかれましては、涼やかなご様子にてお過ごしのことと拝察いたします。日暮れ時など、さわーっと風が通り過ぎると、ほっと一息、「秋遠からず」と自分に言い聞かせております。

近頃は、公園の林の中などを歩いておりますと、ミンミンゼミの声が聞こえて来ます。いかにも「蝉の声」という感じがして、長く伸ばした虫取り網で彼らを追い駆けた子供の頃を思い出します。

当時はオリンピック前で、「神宮外苑」の林も今よりはるかに樹木の数が多く、鬱蒼としておりましたから、各種の蝉が鳴き声を競い、子供達にとっては天国でした。

蝉の声が、ツクツクボウシなどに取って代わると、いよいよ夏も終わりに近づくのですが、などと想像して、ふと気が付けば、まだ暦は8月も上旬、何とお盆の前でした。

「人災」で水に沈んだ北京

日本列島は、晴天域に覆われ、猛暑が続き、所によっては「水不足」が囁かれております。ところが、隣の中国大陸では、「豪雨」による水害で大騒ぎです。

7月末に中国を襲った豪雨は、北京の周辺や河北省一帯を水浸しにしました。8万人が避難し、3万棟が水没、あの歴史遺産の紫禁城までもが湖に浮かんだ城のようになり、北京市郊外では5つの村が水没して消滅しました。ネット上の非公式情報によれば、山間部では更に多くの村々が流失したようです。

昔、私も歩いたことのある「故宮」の石畳が、一面、膝までの水に浸かって、まるで池のようになっている映像には、正直、衝撃を受けました。15世紀初頭に永楽帝が築城して以来、史上初めての風景が故宮に広がっているのです。

今回の水害の半分は「人災」です。

これは、人工的なダムという存在が無ければ起こり得ない水害なのです。

北京周辺には密雲ダムをはじめ107基の大小のダムが有るのですが、渇水に備え「満水」状態を維持していたところへ豪雨が続き、危険水位を超え、ダムの決壊を避けるため放水せざるを得なくなり、一斉に放水をしたことで大規模な水害が発生してしまいました。

皮肉なことに、本来、水害から国土や人民を守るはずのダムが、新たな水害の原因となってしまったのです。

何しろ「竹のカーテン」の向こうの出来事ですから、正確な被害状況は分からず、発表された四十数名という犠牲者数もあてにはなりません。

ネットにリークされている映像からは、自動車などが何台も泥水に流されて行く様子や、孤立した人をヘリコプターで救助する様子、湖のように変わり果てた村落の風景、などが見て取れますから、未曾有の災害であるのはほぼ間違いありません。

さらに追い討ちをかけるように、8月4日から、再度、豪雨が北京周辺を襲っています。

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台風とカムチャツカ地震津波の到達で麻痺した上海の都市機能

一方で、8月に入り、南の上海には台風8号(コーマイ、コメイ)が襲来しました。こちらの被害も甚大です。

上海、広州、舟山、を中心に、28万人を超える人々が避難を余儀なくされました。

時速170kmの暴風が木々を薙ぎ倒し、小屋を吹き飛ばし、人間まで吹き飛ばしてしまいました。3時間に207mmを超える豪雨が上海を襲い、道路を川に変え、ショッピングモールの階段を滝に変え、地下街は水族館に変わりました。排水設備の老朽化した上海は、一日で水に沈んだのです。

奇しくも、この日、カムチャッカで発生したマグニチュード8.8の大地震の津波が上海にも到達し、高潮と相まって、さらに混乱に拍車をかけました。インフラが崩壊、停電が発生、交通と物流は止まり、都市機能は完全に麻痺しました。もちろん、職場も学校もお休みです。

周囲の市や村の被害状況も少しずつ明らかになりつつあります。土砂崩れや河川の決壊による浸水の規模は想像を絶します。

また、この台風の影響で、所によっては、ゴルフボール大の氷の固まりが空から降り注ぐ「雹(ひょう)嵐」に見舞われたのです。まるで、この世の終わり。あんな氷玉が頭を直撃したら、即昇天です。車はボコボコ、窓ガラスは割れ、雹が止んだ後も、積もった氷の山で気温は冬のように低くなったそうです。

軍などによる救援も、とても追い付いてはいないようです。劣悪な環境で物資も滞る中、家や家族を失い避難所で過ごしている被災者の心の裡を思うと、何ともお気の毒で、胸が張り裂けそうです。

水に呪われた中国で習近平が恐れる「帝国崩壊の予兆」

この一連の「水害」に先立ち、7月の初めには長江(揚子江)上流地帯で大雨が続いたため、有名な「三峡ダム(2009年に完成した世界最大のダム)」の水位が高くなり、決壊を防ぐために放流するという事件?!が起きました。

なぜ「事件」なのかと言うと、夜中にこっそり放流し、影響を受ける下流域の村や市に事前に報告をしなかったため、下流の村々にとっては文字通り「寝耳に水」となり、避難する余裕も無く、多くの犠牲者が出たからです。

生物化学兵器の開発疑惑(いわゆる新型コロナウイルスのことです)で世界的に注目を集めている「武漢ウイルス研究所」のあるあの武漢市などもダムの下流に位置するため浸水してしまいました。

そして、同様の水害は、毎年のように中国を襲いつつあります。

かつて、改革開放の掛け声の下、龍の如く世界に躍り出た中国の経済力を背景に、続々と建設が推進された大規模ダム。それは中華人民共和国の明るい未来を象徴していました。しかし、バブル経済が崩壊した今、それらのダムは充分に機能しなくなっただけではなく、むしろ、新たな形の災害を生み出しつつあるのです。

それに加えて「天変地異」、近年の中国は水に呪われているかのようです。

こうした水の恐ろしさを最も強く感じているのは習近平主席でしょう。これは、明らかに帝国崩壊の予兆なのですから。

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ネット上に氾濫する人民の「怨嗟」の声と「人災」の文字

中国には古来、「治国先治水」という言葉があります。「国を治めるには、まず治水から始めよ」という意味ですが、中国では、昔から、水を治めることが国を治める第一歩だったのです。

「黄河を制する者は国を制する」などという言葉も残っています。大暴れする大河を治めることが出来れば、帝王になることも夢ではありませんでした。それほど、中国大陸の人々は長江や黄河など大河の氾濫に悩まされ続けて来たのです。

逆に、いかなる暴君といえども、治水に失敗すれば、それは致命的な失政となり、その地位も危うくなるのです。大河の氾濫は飢饉を引き起こし、民衆の不満に火をつけ、暴動や反乱が繰り返され、やがて政権が崩壊するからです。

そして今、ネットには人民の「怨嗟」の声と共に「人災」という文字が踊っています。

各地で造成された大規模都市も、それを支えるインフラとしてのダムも、治水排水施設も、いずれも共産党政権の指導の下に造られて来ました。

政治と行政の欠陥が、現在の大規模災害に繋がっていることは明らかです。自然災害の過激化に対して、共産党独裁政権という旧態依然とした政治システムは、全く無能で対応不能状態に陥り、何も打つ手を持たないことが露わになってしまいました。

現共産党政権は、今まさに水に沈みつつあります。75年続いた中国共産党による一党独裁の全体主義政権も、そろそろ賞味期限切れとなったのでしょう。

私も76歳となりましたが、かつて「ベルリンの壁」が崩され(1989年11月)、「ソビエト連邦」が崩壊するのを目撃した当時(1991年12月)は、「100年に一度の体験が出来た」と、大いに感動したものですが、まさか、生きている内に、もうひとつ巨大な独裁帝国の崩壊を目撃できるとは思いませんでした。長生きはするものです。

ま、足下に視線を戻すと、かなり小規模とはいえ、日本でも同様の陳腐な政権交代が近付いているようです。

日本の国民が「与党(自民・公明だけじゃありません。補完勢力としての立憲・共産にも厳しい眼が注がれ、自・公以上に得票を減らしました。「既成政党」と言うべきかもしれません)」を見放したのも、石川の大地震やそれに続く豪雨被害への政府の対応の遅れあたりからだったようにも思います。

最早、「55年体制(自民党が親米的な保守与党、社会・共産などの野党は護憲と革新を旗印にこれと対立。プロレスを演じる間に実質、官僚が国を運営する政治行政システム)」は機能しなくなりました。完全に過去の遺物です。

中国共産党が先か? 日本の戦後体制が先か?

(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』『富田隆のお気楽心理学』8月8日配信号より抜粋。同号の「ムーン・リバー」「残暑お見舞い申し上げます」はご登録のうえお楽しみください。初月無料です)

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image by: AcelaritPixie7 / Shutterstock.com

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