市の幹部を集め被害保護者を「だまし討ち」した市長
さて、ここから先は各報道機関でも記事になっていない内情についてだ。
実は、この8月14日は、被害側が行った「情報開示請求」について、市長が、直接説明がしたいと言うことだけを告げられていた。
検証委員会を設置すると決め書面まで出して、市長が約束してからおよそ2年間、担当者は未だに、どこに推薦依頼をしたのかすら明確に示さないという状態が続いたし、何の話をするのか?問うても一切答えないということが続き、湖西市市長部局に話し合いがしたいと申し出て、やっと話ができると行ってみると全く中身のない話をされることに、被害保護者は強い徒労感を持っていた。
例えば、検証委員会にしろ、第三者委員会にしろ、その委員になってもらうには、職能団体に推薦をしてもらう運びになる。職能団体とは、弁護士さんだったら○○弁護士会とか、精神科医さんだったら○○精神医学会とかのことで、専門性があり中立な立場の専門家を呼ぶわけだ。
また、委員になってもらうために、いわゆる一本釣りという手法もよく取られる。個別に専門家に連絡を取り、協力してもらえないだろうかと依頼をして、所属する団体などから推薦状を出してもらう。
これをしなければ、人選がそもそもない状態だから、委員会の設置の第一歩にもならないわけだ。
そして、現状、多くのいじめ第三者委員会では、これを設置する自治体は職能団体から予算の驚異的な低さやあまりに重たい責任と仕事量を理由に断られるという事態が相次いでおり、予算の確保や職能団体の選定が重要なのだが、湖西市は検証委員会をやりますと市長が公言して約束しておきながら、この具体的な行動をしている様子が見受けられなかった。
8月14日面談も、いったい何の話かを何度もメールしたが、返信メールの内容には、「開示内容についての説明をしたい」のみで、明確な回答はなかった。
つまり、8月14日の面談に、被害側は開示請求で出てきた書類についての説明を受けるつもりでいき、あまりに遅い進捗について期限を示そうとしていたが、市長側は副市長らも同席させて市の幹部を集め、何もしないぞを通告するつもりでいたわけだ。これを世間では、だまし討ちというのである。
情報開示請求で判明した信じがたい事実
また一方で、被害側が行った情報開示請求により、とんでもない事実が浮かび上がってきている。
被害側はいじめ第三者委員会の調査に重大な瑕疵があるとして、調査委員会の構成や設置過程から検証をする事を求めていた。これについて、当時の影山市長は、検証委員会の設置を約束し、記者会見等でも検証委員会を設置すると公言し、その進捗状況について順調に進んでいると回答していた。
しかし、実際は、ほぼ知識ゼロで頓珍漢な回答や質問を繰り返す市長部局の職員に、1つ1つの解釈を文科省のガイドラインなどを使って説明する必要があり、説明をしても全く理解を示さず、また頓珍漢な質問を繰り返すといった面談が数回行われただけで、被害側としては全く市側が動いていないという実感があった。
一方、市長が任期で変わり、影山氏から田内市長になったところで、市長側からの呼びかけで、被害保護者が面談に応じた際に、田内市長が「もともと再調査はしないことが決定していた」という不規則発言から、不信感が大きくなり、被害側はこの事件の情報開示請求をするに至ったのだ。
そして入手できた資料によると、検証委員会を依頼する先となる職能団体への委員推薦の要望はなく、全く動いていないことが分かったのだ。
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