シャリフ記者の「遺書」が証明するネタニヤフの犯罪行為
そして、8月10日、アル=シャリフ記者のいた報道関係者用のテントがイスラエル軍にピンポイントで攻撃され、アル=シャリフ記者は殺害されたのです。
今年6月のイスラエル軍によるイランの核施設などへの一斉空爆を見れば、イスラエル軍の諜報能力がトップクラスであることが分かります。当時、ネタニヤフ首相は、イランの要人らの現在位置を完全に把握しており、簡単に暗殺が可能だとうそぶいていました。こうした前提を踏まえれば、イスラエル軍が民間の記者の居場所を掴むことなど造作もなかったのでしょう。
しかし、アル=シャリフ記者自身も、自分がイスラエル軍から狙われていることは以前から知っていました。それでも、目の前で多くの子どもたちを含む民間人が殺され続けている現状を世界に発信するため、文字通り命を懸けて取材していたのです。そのため、アル=シャリフ記者は、今年4月6日の時点で遺書を書き、もしも自分が殺害されたら公開するようにと、家族に託していたのです。
そして、8月10日にアル=シャリフ記者は殺害され、翌8月11日、家族が託された最後のメッセージを公開しました。
これが私の遺言であり、最後のメッセージです。これらの言葉があなたに届いたのなら、イスラエルが私を殺し、私の口を塞ぐことに成功したのだと知ってください。あなたとアッラーの慈悲と祝福に平安あれ。
という言葉で始まるメッセージは、とても長いので全文を紹介することはできませんが、全体としてはアッラーへの感謝とイスラエルによる残虐な行為について書かれていました。
This is my will and my final message. If these words reach you, know that Israel has succeeded in killing me and silencing my voice. First, peace be upon you and Allah’s mercy and blessings.
Allah knows I gave every effort and all my strength to be a support and a voice for my…
— ??? ?????? Anas Al-Sharif (@AnasAlSharif0) August 10, 2025
● https://x.com/AnasAlSharif0/status/1954670507128914219
しかし、何よりも重要なのは、このメッセージの内容ではなく、このメッセージが「ネタニヤフ首相が軍を使って民間の記者を暗殺した」という犯罪行為の動かぬ証拠だという点です。そして、常に保身しか考えていないネタニヤフ首相が狙っているのは、アル=シャリフ記者だけではないという点です。
冒頭に引いた8月25日のナセル病院への空爆について、あたしは欧米の報道に沿って「イスラエル軍の二度に渡る空爆」と書きました。しかし、さらに詳しい現地の報道によると、イスラエル軍は一度目の空爆を行なった後、しばらく時間を置き、空爆現場に各社の記者やカメラマンが駆けつけて来るのを待ち、報道関係者が集まったタイミングで同じ場所に二度目の空爆を行なったというのです。
そうでなければ、通常の空爆で、AP通信、ロイター通信、アルジャジーラの報道関係者が5人も死亡することなどありえません。つまり、ネタニヤフ首相は、1人でも多くの報道関係者を殺害し、ガザの現状が世界へ発信されることを妨害しようとしているのです。
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