国際社会が大きな失望を抱いた、アラスカでの米ロ首脳会談の成果の乏しさ。しかし心理学者の富田隆さんは、「歴史的会談」であった可能性を指摘します。冨田さんはメルマガ『富田隆のお気楽心理学』で今回、自身がそう見る理由を解説。さらに「アメリカ覇権時代の終焉」を唱える声に対する反論を綴っています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:グローバル覇権国
アメリカの時代は終わるのか。「グローバル国家論争」を考える
地球を北から眺めると
先日の米国トランプ大統領とロシアのプーチン大統領との会談は、ひょっとすると「歴史的な」会談だったのかもしれません。
日本やヨーロッパの関心は「ウクライナ戦争」でしたので、「大した合意は無かった」という失望の声ばかりが聞こえて来ます。確かに、ロシアの要求は3年前の開戦時からまったく変わっていませんから、目覚ましい成果が無かったのも当然です。それにもかかわらず、終始、和やかな笑顔を絶やさなかった二人の大統領の間で、一体、何が話し合われたのでしょう?ちょっと不気味で気になります。
レッドカーペットを敷いて出迎え、戦闘機の護衛までつけて見送るのは異例の歓迎ぶりです。あの友好的な雰囲気は、まるで「同盟国」どうしの会議のようでした。
その謎を解く鍵は、ひょっとすると「地球儀」に隠されているのかもしれません。地球儀を北から眺めると、ロシアとアメリカ・カナダは、北極海を囲んで隣どうしであることが分かります。意外なほど、彼らの距離は近いのです。ですから、これら二つの勢力が手を結び、「北極圏」を中心に協力し合ったらどうなるでしょう?
夢の北極経済圏
エネルギーや資源、そして海運といった経済領域に限っても、米ロが協力すれば、北極圏が生み出す富の大きさには測り知れないものがあります。
もちろん、米ロだけでなく、米国傘下の日本もまた利益を得ることになります。たとえば、ウクライナ戦争前から日本が参画していた「サハリン1・2」の天然ガス開発にも、エクソンなど米国資本が帰って来るわけですから、本格的な供給開始に向けてさらに弾(はず)みがつくでしょう。
さらに、ヨーロッパからのエネルギーや物産の輸入も、日本からの輸出も、「北極圏航路」が開設されれば、随分と運送コストが下げられるはずです。南回りに比べ、輸送時間もはるかに短縮されます。
これが、ロシアとアメリカ(+カナダ)間の貿易や共同開発となると、さらに規模が大きくなるでしょう。人的な交流も活発化します。近い将来、巨大な「北極経済圏」が出来上がります。
トランプ大統領を陰で支えている「経済的な勢力」の間で、こうした「構想」が深く静かに練られていたとしたら、就任当初からのトランプ大統領の奇妙な発言にも合点が行くというものです。トランプ氏は突然「グリーンランドを買いたい」と言い出したり、高関税をちらつかせ「カナダは米国の51番目の州になれば良い」などと暴言を繰り返していましたが、実はこれにも理由があったわけです。
これらは「トランプ氏の気紛れ」なんぞではありませんでした。今になってみれば、世界の経済を動かし政治にも多大な影響力を与えている勢力(ただし、EUやバイデン前大統領を操っていたグループとは別の勢力)と共に大統領が練り上げていた計画に沿った一種の「観測気球」であったことが分かります。
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