「盗撮カメラは機械では見抜けない」という現実
さて、今回は盗撮機器の発見についてだが、ハッキリ言って、機器のみで発見するのは極めて難しいと言って過言ではない。
どうやら各学校関係者さんは、不安になる生徒や保護者を安心させたいという思いがあってのことのようだが、盗撮機器発見器を導入したからといって全く安心できないのだ。
そもそも盗撮機器にはいくつかの種類がある。
1つは、偽装されていて他の機器と見分けがつかないもの。例えば、モバイルバッテリーや腕時計型、メガネ型などがある。この手の偽装式小型カメラは、そのもの自体にSDカードなどの記録媒体があることが多い。
もう1つは、偽装式小型カメラがwifi仕様になっており、インターネット上で遠隔操作などが可能なもの。イメージとしては、ウェブカメラのようなものだ。
また、およそ最も多いのが、スマートフォンのカメラを起動して録画状態にして適当なところにおいて盗撮する「置き撮」、デバイスが学校の記録用ビデオカメラだったということもあるようだ。
旧式のものは、電波を発信して映像を無線で飛ばすが、現在はそもそもで規格が古いので出回っていないし、コンクリートや鉄筋などの障害物に異常に弱いので電波が全く飛ばず使い物にならないだろう。
実際に販売されている盗撮機発見器というのは、この旧式の電波を発信するカメラを発見することに特化している。誤作動も多く、自動ドアに反応してしまったりするものもあるほどだ。
高級仕様となっているものは、赤外線などを照射して、その反射でレンズが光る作用を利用して発見するという機能などが付与されているが、レンズの角度や偏光フィルターなどの利用で、反応しないこともある。
そもそも巧みに偽装され、隠されたものを見つける機能をもつ機械で、何らかをみつけるには、その発見点がなければならない。
旧式のカメラであれば発信する電波がそれにあたる。一方で何も発信もせず、ただ目の前にあるものを録画するだけのものは、その物体その物から発見点は出ていないのであるから、不自然さから手に取って、よく観察する以外に異物だと認識することは困難だ。
wifi等の電波を利用するものならば、確かに発見点として「wifi」という判定もできるが、現在の学校は、ほぼ100%普及した学習用タブレットパソコンの利用などで、同様の電波を発信受信する機器は大量に存在するわけだ。
つまり、現実的には、1つ1つを良く点検し、手に取って観察し、異物であるかどうかを判断する必要がある。調査においてはこのことを目視点検というのだが、目視のみで発見するには専門的な経験と知識が必要だと言えるだろう。
つまり機械を導入してもそもそもであまり効果が無いということだ。およそ、こうした問題の専門家や実務経験がある探偵調査員も同じことを言うだろう。
ではどうすればいいのか?
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