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過去のいじめ被害者をつけ狙い友人たちを差し向けたか?大阪で起きた「待ち伏せ暴行事件」に見る“異常ないじめ加害者”の実態

10月8日、大阪市で中学生が被害者となった「不可解」ともいうべき暴行事件が発覚しました。その背景には、過去の「いじめ事件」が存在しているようです。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」代表の阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、この事件の現時点までに判明している事実関係を紹介。その上で、いじめ被害者が再び標的にされる現実と、司法・教育現場が抱える深刻な機能不全を告発しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:いじめ被害者をつけ狙ったか!集団暴行事件

大阪市で集団暴行事件が発覚。つけ狙われた「過去のいじめ被害者」

10月8日水曜日、大阪市において、いじめの被害者本人がファーストフード店で、待ち伏せをしていた他校生徒から暴行を受けるという事件が発覚した。

この事件には背景がある。

被害者である中学生は、小学生のとき、酷いいじめを受け、これは既に重大事態いじめとして第三者委員会で調べるということになっている(これについても構成を含めかなりの疑念が生じるのであるが)。

被害者はこうした酷いいじめによって紆余曲折あり、転校するなどして加害者らと進学先が同じにならないようにした。

私はこの被害家族の状況報告や相談を通じて、異常な職員が闊歩し、やりたい放題の状況をみたのだが、裏付けに関する証拠等が問題的にはまだ足りないというところがあり、これについては、情報収集等が完成してから後日、ここで告発すると同時に問題提起をする。

“犯行グループ”が被害者に加えた危害

被害保護者によると、ファーストフード店の席に、友人らと座った直後、見たことのない他校の生徒に被害生徒を狙うように、「お前の名前を教えろ?」「名前なんて言うんだ?」というような趣旨で絡まれたそうだ。

被害生徒はこれに対応しないでいると、一緒にいた友人が答えてしまったそうで、それに応じて、7~10人程度の加害生徒らが「○○は知っているか?」(○○はいじめの加害者であった)と執拗に質問を繰り返した挙句、被害生徒の足を蹴るなどの暴行を行い、店で注文してテーブルに置いてあった食べ物などを奪い、食べるなどをしたという。

現在、大阪府警に被害届を提出し、大阪府警が調べているということだ。防犯カメラも多いこともあるだろうから、加害少年らはすぐに補導されることになるだろう。

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実はあまり例のない「いじめ加害側」の暴走

多分日本国内で最も多くのいじめ事件を取り扱っていることになるであろう私の経験から、加害側が暴走するということはあまりないと言える。

多くのケースで言えることは、学校や教育委員会、学校法人などは、酷いいじめ事件が発覚するまでは、通常運転をしている。一方、加害者はいじめをする事は日常であるから、通常運行なわけだ。

ところが、被害者は平和な日常が壊れ、暴力や強要などの行為によって様々なものが破壊され人生を踏みつけられ続けている異常状態になっている。だから、被害者は「助けてくれ!」と救いを求めるわけだが、加害者とも学校等とも利害関係は一致しない。だから、隠ぺいが横行し、泣き寝入りの数が水面下で膨大に膨らむわけだ。

利害関係が一致した学校等と加害者は、それまでの平穏な日常であった平常運転を乱したのは、被害者だと考えがちだ。

学校から教育委員会へ送られた報告書などを私は毎日のように目にするが、その多くに、事実とは異なる被害側への悪意の内容が記載されている。

例えば、いじめによって適応障害やうつなどの症状が出ているという被害生徒がいたとする。時期として受験などが重なっていれば、当然に被害生徒も受験勉強を頑張るわけで、多少の根不足や生活リズムが乱れることもあるものだが、そこだけをクローズアップし、家庭環境が著しく悪いと報告書に記載し、うつの等の原因は、いじめではなく家庭環境が悪く十分な休息が取れていないからだと断じるわけだ。

一方で、不法行為をされた側が証明する責任を負うという証明責任の概念があるから、加害側はいじめをしていないという証明は必要が無い。多少知恵が働く加害者は、「黙秘権」を使って、知らぬ存ぜぬと惚けるわけだ。

つまり、加害側は暴走しなくても、学校等が被害者側を敵対視して評判を下げるように行動し、特に小学生中学生の内は明確な処分を出すことはほとんどないから、ちょっと注意される時間だけをやり過ごし、反省したふりをしつつ、逃げてしまえば、何らの支障もないという実態から、暴走するまでもないのである。

おおよそ、こうした作用が隠ぺいや被害側家族の村八分、日常的なでっち上げが起きている背景であろう。

結果的に、我々のような支援団体が出てきたり、専門知識がある記者や外部の弁護士などが出てくると、隠ぺい勢力は実態を暴かれ、しどろもどろになるわけだ。

しかし、異常な加害者というのは存在する。

いわゆる犯罪予備群と言われる属性に当たる加害者もここにあたるわけだが、多くはストーカー的であり、執拗なまでに攻撃を繰り返すのだ。

冒頭に取り上げた事件も、まだ明確な繋がりは出ていないと評価できる点はあるが、被害生徒と暴行や脅迫を行った加害者らが交わしたやりとりは、明らかに元加害者に関連する何かを起因としたものだと考えるのが自然だろう。

被害を受けた側は、見知らぬ同年代を見たり、格好悪いやんちゃ風の人を見れば、少なからず警戒をすることになる。これは徐々にストレスを増大させる要因となり、これが進めば外出がストレスになってしまうこともあろう。

大阪では、過去に堺市で起きたいじめ事件の被害家族が、帰宅するのを待ち伏せていた加害者の親に暴力を受けたという事件があった。この加害親は未確認の情報に過ぎないが、事件化した場合に備えて、敢えて泥酔して犯行に及んだという情報もある。

ただ、待ち伏せしていたことや、明確に暴力行為に及んだことは事実であり、極めて悪質であり、その後の恐怖は計り知れない。

一方で、こういう行為に司法はあまり厳しい判断を下すことは無い。比較的甘い対応で、多くは、未成年がやったこと、なんとなく加害者側の説明に納得するような形で、まるで他人事の判断をする事が多いのだ。

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「それでも警察に行ってほしい」。現役探偵からの助言

どうせ罪は問えない、などで刑法犯的な被害を受けても警察に行かない人や保護者がいる。確かに、取り調べにはかなり時間がかかるし、申告するのも結構なストレスがかかるものだが、結果どうあれ、被害を受けたら警察に行ってもらいたい。

最低限、記録は残るわけだ。一気に動かない場合は、こうした記録の積み重ねや事実把握をしてもらうことを正攻法としてやってもらいたいのである。

また、警察には学校で起きたことも報告するべきだ。そもそも、学校は治外法権ではないのだ。

殺到している「記事にしてください」という依頼

昼頃まで別の記事を書いていたのですが、本日は急きょヘルプの連絡があり、かなり酷い状況であると認識したので、記事の差し替えを決断しました。

ですので、次回、次々回は、多くニュースで取り上げられたものと6,000万ビューを超えたあの事件の背景についてお届けしようと思っています。

それにしても、しつこい加害者というのはいるものですね。私は、今回取り上げた暴行事件は、過去の加害者が被害者をつけ狙って、友人らを差し向けたのではないかと思っています。理由はそれが自然だからです。

そこが解明されなかったとしても、私は常に被害側と連絡を取り合っていますので、何かあれば遠方で直接出向けなくても、形を変え、できる限りの動きをしていきます。

ちなみに、「記事にしてください依頼」が殺到していますので、随時資料等を読み込みして、取材をして記事化していきますが、今後の申し込みについては、おおよそ来年以降になると思います。

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image by: Shutterstock.com

阿部泰尚この著者の記事一覧

社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

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