読者の方に「中間管理職が必読の書籍はありますか?」と聞かれた人気コンサルタントの永江一石さん。永江さんは自身のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の中で、「本なんて必要ないと思います」とバッサリ。その理由とは?
「中間管理職」が必読の書籍はあるか?
Question
いつもメルマガをありがとうございます。私は小さい士業事務所ではありますが、一応中間管理職的な立場です。事務所のことを考えたり部下のことを考えたりで、色々と自分なりに勉強していますが、その効果のほどはいかに……と不安になりながらの日々です。
そこで永江さんに「中間管理職になったら必ず読むべき書籍」みたいなものがあれば聞いてみたいなと思った次第です。よろしくお願いいたします。
永江さんからの回答
いきなり身も蓋もないことを言って申し訳ありませんが、本なんて必要ないと思います。中間管理職といえば、例えば課長さんや、部下が数人いる程度ですよね。大企業ならともかく、小さな事務所であれば会社によって状況が全く違うので、他の人の事例を聞いたり、書籍を読んでもあまり意味がないと思います。
わたしは中間管理職をやったことがないですが、リクルート時代は一応リーダー研修を受けたことがあります。そこで教わったことで今でも心に残っているのは「褒める時はみんなの前で、叱る時は別の部屋で」という教えです。
よく中小企業の社長で、人前で部下を大声で怒鳴ったりする人がいますが、あれは本当に良くないです。褒める時はみんなの前で大きく褒めてあげて、叱ったり改善点を指摘する時は絶対に人前でやらない。これが鉄則です。あとは優しい気持ちで接する、部下の陰口を言わない、などの心がけは大切ですね。
先日、高市さんが「ワークライフバランスを考えず、働いて働いて働きます」と宣伝して炎上しました。元フローレンスの駒崎さんやリクルートの同期も「ありえない」と言っており、わたしもFacebookで批判したところ、何人かから「あれは国会議員に言っただけであって、何の問題もない」と執拗に絡まれました。いや、問題大アリです。
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なぜ駄目なのか。1つは、国のリーダーがワークライフバランスを考えないで働きますと、総裁選の後に全国ネットで発言する影響力を考えていないから。
2つ目は、国会議員は1人では仕事ができないから。わたしは以前、当時議員だった音喜多さんの事務所や、他の議員事務所に行ったことがありますが。そこには必ず法案政策担当の専門家がいました。秘書も何人かいて、地元と東京に事務所があり、事務員さんもいる。
議員が自宅で深夜まで寝食を忘れて働くのは構いませんが、事務所で作業をする場合、1人では何もできませんよね。法案を作成するのにスタッフとブレストしたり、草案を書いてもらったり。パソコンも打てない高齢議員だっているのに、「ワークライフバランスを考えず~」なんて公で言っては駄目でしょう。
言うなら「私は寝食を忘れて働きますが、スタッフの皆さんはワークライフバランスをきちんと守ってくださいね」と笑顔で付け加えるべきだったんです。わたしはこの発言を進次郎が言おうが石破さんが言おうがキッパリと批判します。
同様に、士業事務所でも中間管理職になると残業手当が付かなくなりますよね。マネージャーに昇進させる理由は、どれだけ働かせてもコストが増えないからなんてこともあります。でも、中間管理職の仕事は、上から言われたことを、全て丸投げで下に振ることではありません。
もし質問者さんの会社の社長が「うちは経営がきついから、みんな必死に働いてください。ワークライフバランスなんて言っている場合ではありません」と言ったとしても、昔みたいに部下に耐えてと強要するのは難しい。上から無茶を言われても、一度自分が受け止めてあげることが重要です。
あと「自分が一番尊敬できる上司の真似をする」のも一つの手ですね。わたしがあの上司は良かったと思う人の特徴は、「仕事しているアピールをしない人」です。「俺はこれだけやっているんだ」と自慢する上司にまともな人はいません。
もう一人は「何か困っていることない?」とよく声をかけてくれた人。その人は特別評価が高かったわけではありませんが、今でも良い上司だったなと心に残っています。
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