全米各地で「反トランプ」デモが広がっていますが、報道のトーンをよく読むと「どのような立場から語られているか」が浮かび上がってくるように見受けられると語るのは、メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さん。大澤さんは今回、ニューヨーク・タイムズの記事を抜粋し、米国報道の偏り、そして日本メディアの受け止め方について問題提起しています。
全米で反トランプデモ
さて、本日取り上げるのは、「反トランプデモ、王様はいらない」ニューヨークタイムズ10月18日の記事です。
記事抜粋
彼らは教師や弁護士、退役軍人や解雇された公務員だった。子供や祖母、学生や退職者もいた。
全国の大都市から小さな町まで、大勢が押し寄せた。仮装した者、音楽を鳴らす者、プラカードを掲げる者、星条旗を掲げる者、通り過ぎる車のクラクションに歓声を上げる者もいた。
ほとんどの場所の雰囲気は型破りだが平和的で家族連れにも優しいものだった。しかし目的は明確だった。あらゆる場所の群衆が同じスローガンを共有していた。「王様はいらない」と。
土曜日に数千の場所で同時開催されたトランプ政権への終日大規模デモは、抗議者たちが君主のように振る舞うと見なす大統領を非難するものだった。
最大規模の集結地の一つであるタイムズスクエアでは、派手で軽薄なプラカードが街を埋め尽くし、カーニバルのような雰囲気に包まれた。「私はいかなる王にも忠誠を誓わない」と宣言するプラカードも目立った。
「もうトランプはいらない!」と群衆は叫びながら星条旗を振った。
一部集会では少数派の反対派や警察の姿も見られたが、大半の雰囲気は明るく祝祭的だった。ワシントンでのデモでは子供や家族連れが目立った。
サンフランシスコでは、ファーマーズマーケットの出店者に囲まれた群衆が「落ち着いて、行進を続けよう!」と唱和した。
解説
反トランプデモが全米で起こっているものの、参加者は理性的・平和的な人達というニュアンスです。
トランプの集会の参加者を「星条旗を掲げて大声で叫ぶ暴力的、狂信的、不満一杯な人達」と印象付ける報道するのと対照的です。
私はニューヨーク・タイムズがこのような報道姿勢を取るのはまだ理解できるのです。
トランプから偏向報道をしていると巨額訴訟を受けているからです。真向から対立しているのです。
しかし、日本の報道機関は一歩引いたもう少し客観的な報道をしてほしいと思っています。
私の周りにもなぜトランプを支持する米国人がいるのかを論理的・合理的に説明できる人が何人もいます。トランプ支持者は騙されているわけではないと説明できます。
実際のところ、トランプ支持者は「トランプが大嫌いな人の気持ちは分かる。しかしながら…」と、むしろ、控えめな人が多いのです。物言わぬ大衆です。
そういった人の意見もバランスをとるために掲載してほしいのです。
トランプ大統領の支持率は変わっていません。
ずっと「全米で反トランプ運動が続いている」状況なら、大統領に再選されるなんでおかしいでしょう。
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