高市の歓喜、麻生の暗躍、吉村の翻意、玉木の嘆息。急転直下「自維連立」真の“黒幕”と、明かされた緊迫の数日間“全シナリオ”

ak20251023
 

急転直下とも言うべき日本維新の会との「閣外協力」により、発足にこぎつけた高市政権。しかし各々の利害と思惑が蠢く自維の連立には、大きな不安があるのもまた事実です。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、高市“エセ連立”の実態を詳述。さらに背後で糸を引く麻生太郎氏の思惑を読み解きつつ、「権力という甘い蜜」がもたらす高市政権の危うさを指摘しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:連立とは名ばかり。「閣外協力」の危うさをかかえる高市政権

「連立」ではなく「閣外協力」。高市「名ばかり」政権が抱える大きな不安要素

日本維新の会を連立相手として抱き込み、NHK党の参院議員まで自民会派に引き入れて、涙ぐましい多数派工作を展開したすえ、自民党の高市早苗総裁はやっとのことで総理大臣の座についた。

日本初の女性総理。ようやくそういう国になったかという感慨と、親分子分、義理人情のムラ型政治から脱け出してくれそうな期待感…さまざまな思いが交錯する。

だがこの政権、「連立」と名前はついていても、きわめて危うい。厳密には「閣外協力」であって連立ではない。

憲法には「内閣は行政権の行使について国会に連帯して責任を負う」と定められている。「連立」というのなら、維新は大臣を出すこと、すなわち内閣の一員になることによって、全国民を代表する国会に対して連帯責任を持つべきなのである。

ところが、維新は首相補佐官に連絡調整役の1人を送り込むだけで、政策を決定する閣議には誰一人参加しない。自民党が気に入らない法案や政策を出してきたら閣外から都合よく批判的見解を表明し、自らの政策を実現するためだけに連立の立場を利用できるのだ。政権内に“野党”をかかえているかのような“エセ連立”が長く安定的に機能するとは思えない。

高市政権のもう一つの危うい特徴は、総裁選の経過、党役員人事からもうかがえるように、キングメーカー・麻生太郎副総裁の支配下にあるということだ。

高市氏を首相に当選させるための多数派工作で、無所属議員7人で構成する衆院会派「有志・改革の会」に低く頭を下げて頼みに来たのは麻生氏だった。大物の来訪に感激したのか、維新を離党して同会派に所属していた守島正、阿部弘樹、斉木武志の三氏が高市氏に票を投じることを決め、同会派はあえなく分裂した。

高市氏は237票を得て当選したが、自民・維新の会派は合わせて231議席なので、6票が上乗せされている。そのうち3票がこの三人ということになる。

維新との連立工作においても、麻生氏が真っ先に乗り出したフシがある。西日本新聞(10月17日)に維新との接触を示すこんな記事が掲載された。

永田町に激震が走る中、維新幹部の携帯電話が鳴った。自民総裁選で高市早苗氏を押し上げた自民重鎮からだった。「小泉陣営との交渉は、どういう条件だったんだ?」(中略)維新幹部は小泉陣営に持ちかけていた“条件”となる政策協議の十数項目を説明した。「なるほど…」とうなった重鎮は本題に入る。「一緒にやれないか。細かい話は今後だ」。

「永田町に激震」とあるから、公明党が連立離脱を表明した後の動きと思われる。高市早苗氏を押し上げた自民党重鎮とは、まぎれもなく麻生氏のことだろう。

維新は総裁選期間中から、小泉進次郎氏の選出を見込み、小泉陣営の幹部と水面下で連立交渉を重ねていた。高市氏が総裁になり思惑が外れた形になっていたが、いったん自民との“連立モード”に入った維新幹部たちには政権への未練があった。

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