年明け早々、米国とベネズエラをめぐる緊張が一気に高まり、世界中で注目を集めています。米軍がベネズエラの現職大統領を拘束し、米国内で裁くという展開は、国際政治の常識を大きく揺るがす出来事ですが、この動きについて、米国内メディアはどのような論調で伝えているのでしょうか。メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、1月3日付のニューヨーク・タイムズの記事を抜粋し、今回の事態の背景と、米国側の論理、そして国際社会が直面する論点を整理しています。
米国のベネズエラ侵攻を米国内はどう報じているのか?
新年早々ですが、米国がベネズエラに侵攻するという事態になっています。
米軍はニコラス・マドゥロ大統領を拘束、ニューヨークに移送しました。
以下、ニューヨーク・タイムズ1月3日の記事です。
記事抜粋
「マドゥロ大統領がニューヨーク到着、トランプ氏は「米国がベネズエラを支配する」と発言」
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は1月3日午後、麻薬関連罪で起訴されるためニューヨークに到着した。
米軍がカラカスで迅速かつ圧倒的な攻撃で彼を拘束してから数時間後のことだ。
これはトランプ大統領によるマドゥロ政権打倒作戦の集大成であった。
米当局者によれば、150機以上の米軍機が防空網を無力化、軍用ヘリコプターがマドゥロ氏の陣地を襲撃する部隊を輸送した。
トランプ氏は記者会見で「安全かつ適切で賢明な政権移行」が実現するまで米国が「国を運営」すると述べ、無期限の軍事関与の可能性を示唆した。
米軍が同国を占領するかについては言及しなかったが、「地上部隊の投入」を恐れていないとも付け加えた。
しかしマドゥロ氏の側近は依然として権力を掌握しているようだ。
1月3日午後時点でベネズエラ国内に米軍の明らかな存在を示す兆候はなく、同国高官や国営メディアは抵抗の姿勢を示している。
解説
今回の背景は2つ。石油と麻薬です。
かつて両国は友好関係にあり、ベネズエラは米国にとって重要な石油供給国でした。
国営石油会社 PDVSAは米国内に精製・販売網を持ち安定した相互依存関係が築かれていました。
しかし1999年に ウゴ・チャベスが政権を握ると状況は一変しました。
チャベスは反米・反新自由主義を掲げたのです。キューバやロシア、中国との連携を深めました。
石油は反米外交の武器として使われるようになり、米国との関係は急速に悪化しました。それはマドゥロ大統領にも引き継がれました。
これに加えて、トランプ大統領が激怒していたのが麻薬を中心とする非合法経済です。当然ながら市場は米国です。トランプ大統領は不法移民と麻薬が大嫌いなのです。
ベネズエラの軍や治安機関の一部には「太陽のカルテル」と呼ばれる構造があります。
太陽のカルテルは、麻薬取引やその他の違法経済活動に関与しています。このカルテルは、ベネズエラの高官や軍関係者が運営しており、ニコラス・マドゥロ大統領の指導の下で活動しています。国家ぐるみの活動と言えます。
トランプ大統領側からみると「国家ぐるみで麻薬を米国に輸出するベネズエラの主犯であるマドゥロ大統領を捕まえて裁判にかける」という事になります。
批判する側から見ると、他国の大統領をつかまえて、自国で裁判にかけるという事は国際法上の大問題でしょう。また「米国は石油利権が欲しいのだろう」という批判もできます。
両方に理屈があります。そして、多くの場合、現実はそのようなものです。
トランプ大統領は当面、米国がベネズエラの統治をすると言っています。
その成否はベネズエラの軍および国民の求心力がどこを向くかが決める事になるでしょう。
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