なぜ理解していても、判断を誤るのか
ここまでの話を聞けば、「それなら事前に理解しておけばよい」と考えるかもしれない。
しかし、現実はそう単純ではない。
日本市場では、「少し強い」「やや高い」「微妙にやりすぎている」といった、「定量化できない判断」が連続する。
この判断は、資料や調査レポートからは導き出せない。
経験と感覚、そして失敗の蓄積によってしか磨かれない。
だからこそ、日本語が話せる外国人スタッフや、日本出張を重ねた海外経営者であっても、判断を誤る。
成功ブランドが必ず持っている存在
日本市場で成功している海外ブランドを注意深く見ると、一つの共通点がある。
それは、日本市場を「一緒に設計する専門家」が関与していることだ。
単なる代理店でも、翻訳者でもない。
ブランドの核を理解した上で、日本市場における表現、色、素材、価格、流通を編集する存在。
いわば「日本市場編集者」とも呼ぶべき役割である。
重要なのは、この関係が「監修」や「助言」に留まっていないことだ。
企画初期から関与し、意思決定を共同で行う。
主従関係ではなく、パートナーとしてのコラボレーションである。
日本市場は「一緒に作る」ことでしか開かれない
結論は明確だ。
日本市場は、「理解して参入する市場」ではない。
「一緒に作りながら参入する市場」である。
海外ブランドの強みと、日本市場の編集力。
その両方が揃ったとき、初めて日本でブランドは根を張る。
日本のファッション業界に関わる私たちには、その橋渡しをする役割がある。
それは単なるビジネスチャンスではなく、日本市場の価値を正しく伝え、世界と接続する責任でもある。
■編集後記「締めの都々逸」
「誰か最初に 言い出してくれ ないと進まぬ たたき台」
今回のプロジェクトでもAIは大活躍でした。かなり詳細なたたき台をAIに依頼して、そこから議論をスタートしました。
今回のメルマガの原稿も、AIとキャッチボールして作りました。最終的に文章を整え、私の考えと私の文章になりました。
今年は、この線で進みたいと思っています。(坂口昌章)
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