国際秩序が混乱する今、ザ・ビーチ・ボーイズ『God Only Knows(神のみぞ知る)』が響いた米国を再考すべき時代がやってきた

 

誰もがビーチに行けば口ずさんでしまう「サーフィンUSA」「カルフォルニア・ガール」は、そのメロディの秀逸さに完璧なハーモニー、それだけで米国のビーチは天国であるかのような、天然色を湛えている。

声音が重なる多く楽曲が次々と生産されるブライアンの能力は天才的だった。

この「サンシャイン・ポップス」に米国の寛容さを重ね合わせてみてきた。

この音楽があれば米国に夢を見ることができたし、大衆文化にはすべてを内包する包容力を信じられた。

米国に2つの面があると言っても、笑い飛ばせたかもしれない。

しかし、二面性はもはや単純な2つではなくなった。

保守を示す赤い米国(共和党)とリベラルを示す青い米国(民主党)ではなく、クアーズビールを保守派、スターバックスコーヒーをリベラル派のそれぞれのアイコンにするのでもない、力の有無が物事を決める単純明快な論理のもとに、力が世の中を決める二面である。

赤と青ではなく、黒か白か、に近いだろうか。

多様性をなくしていくというのは、すなわち彩を失っていくこととも重なる。

その力を誇示するトランプ大統領は世界最大の島グリーンランドの領有を望んでいる。

19世紀後半にも広大な漁場、野生動物、豊富な鉱山資源を目的に獲得する意向は示していたが、それが今、復活したように見える。歴史を見れば、18世紀の「大覚醒」もちらつく。

米国はキリスト教の国で、新大陸発見から建国を経て、1730年から1740年代にかけてニューイングランドを中心に北東部で起こった第一次大覚醒は、今の米国に形成した。

宗教再生運動とも呼ばれた運動は、米国が宗教国家であることを確信されるもので、社会学者の橋爪大三郎氏は「キリスト教を軸にしてそのまわりにアメリカという国家が形成された」(アメリカ、河出新書)と言う。

ビーチ・ボーイズの名曲『Wouldn’t It Be Nice』(素敵じゃないか)の眩しくて、煌めいている人生を、一緒に共有できるのが、世界と社会のすばらしさのはず。

さらに『God Only Knows』(神のみぞ知る)を聴きながら、それは幻ではない、と信じ続ける日々は続く。

【関連】二つの米国、二つのビーチ・ボーイズ。村上春樹の「村上ラジオ」ブライアン・ウイルソン特集からの静かな問い

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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