なお、1・2・3どの方法を選んでも、第二会社方式との併用を勧められることが多いのも最近の傾向です。「5割でも債権放棄してくれたらウチの会社は助かります。残りの5割は必ず返します!」と主張しても、それを認めてもらえるのは困難です。
多くの場合、そのような考えは採用されず、「それよりも新会社へ事業譲渡して、旧会社は破産したほうがいいですよ。社長個人の連帯保証だけ経営者保証ガイドラインを使いましょうね」と、破産&事業譲渡&経営者保証ガイドラインという組み合わせに至る中小企業が多いのが現実です。「廃業するよりはマシでしょう?」と。
このように、債権放棄を勝ち取るのは非常に難しいわけですが、中には、銀行や専門家もびっくりするようなやり方で、自力で債権放棄を勝ち取った中小企業経営者も実在します。
ただ、これを詳細に書いてしまうと、いろいろ誤解を招いたり、モラルハザードの懸念などもありますので、最小限にとどめたいと思います。
[事例1]
銀行は代位弁済になった。公庫とプロパーも事故扱いになった。
そして数年が経過した。
会社はゾンビ状態が続いている。
とても返済できる状態ではない。
資産はとっくに失った。
そんなある日、プロパーはサービサーに債権譲渡され、そのサービサーから債権放棄の打診があった。「残債1億円を、300万円で手を打ちませんか?」と。
次に公庫。公庫は一括請求を経て訴訟、判決、口座差押までキチンとやってきたが、差押の後は全く音沙汰がなくなった。そこから数年が過ぎたある日、ある方法で残債の有無を照会したら、もう終了したことになっていた。
最後に保証協会だが、ここは毎月ウン千円ずつを必死に返していた。
毎年、聴き取り調査があったが、苦しい現状を伝えるしかなかった。
そんなある日、担当者が代わったのを機に、「まとまった金額でいくらなら払えますか?」と打診があった。話し合った結果、ウン千万円の残元金と遅延損害金を一切合切あわせて、100万円で解決(差額は放棄)と決まった。
その100万円は必死にかき集めて用立てた。
……この事例では、第三者機関も介入していませんし、債権者平等の原則も成立していません。経営改善計画書なども書いていません。
一般常識的にはありえないことですね。
しかし、現実にこういった事例は存在します。ヒントは、不良債権処理。
なお、このような方法を選択した場合、たとえ債権放棄を勝ち取ったとしても、そこに至るまでの精神的苦痛、機会損失は相当なものがありますから、おすすめはできません。(言い換えれば、「結果的にそういう状況になってしまった」ような場合は、これをチャンスと捉え、活路が見出せるかもしれません)
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