現実的には極めて例外的な結果であり、制度上も実務上も高いハードルが存在する「債権放棄」。メルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者である吉田さんは、債権放棄に至る代表的な手法を整理した上で、なぜそれが容易ではないのか、そしてごく稀に「制度の外側」で成立してしまうケースがなぜ起こるのかを、実例を交えながら考察します。
債権放棄してもらえる可能性
債権放棄。借金で首が回らない人にとっては夢のような言葉ですね。
ですが、当然のことながら簡単にはいきません。
債権放棄にこぎつけるには、きちんとした手続きを糞で難しい要件をクリアするか、さもなくば、型にはまらない生き延び方で気長に待つしかないでしょう。
以下、そこに至るまでの考え方をまとめます。
【正攻法】
- 法的整理 ─ 破産、民事再生など
- 私的整理 ─ 個々の債権者交渉・和解交渉など
- 準則型私的整理 ─ 公正中立な第三者を入れて、マニュアルやガイドラインに則って整理。特定調停、ADR、協議会スキームなど
大きく分けると、上記3つに分類されると思います。
1の法的整理は裁判所を使います。強制力は大変強いですが、金融債務だけでなく、その他の債務(未払金、買掛金など)も同様に踏み倒すことになり業界での信用が失墜しやすいですし、官報など通じて公になりやすいので、最後の手段と考えるのが一般的です。
2の私的整理は、古くは江戸時代からそれらしき慣習が存在していました。
たとえば京都の呉服商人が、支払いに窮した際に、仕入先を一軒一軒回り、これで勘弁してくださいと頭を下げて、一部またはかなりの債権放棄を求めるような、そんなやりとりがあったそうです。内整理とも言われていたようです。
昭和・平成・令和の昨今では、このような裁判所を使わない内々の私的整理を、弁護士に委任して行うのが普通ですが、実際には貸し手側の事情(税務など)も複雑に絡みますから、容易には応じてくれません。非現実的と言えるかもしれません。
3の準則型私的整理手続きは、2000年代以降に徐々に増えてきた制度です。
私的整理ガイドライン、事業再生ADR、中小企業活性化協議会スキーム、特定調停スキーム、事業再生ガイドラインなどがこれに該当します。
2の私的整理と較べて、公正中立な第三者が入り、厳格なマニュアルに沿って運用され、また債権者にとって税制上のメリットなども存在するので、債権者(金融機関)側にとっては債権放棄に応じやすい方法と言えるでしょう。しかし債務者側にとっては、手続きが思いのほか厳格なことや、多数決などではなく満場一致の合意が求められること、費用が思いのほかかかること(DD費用、計画策定費用、ほか数百万円)、債権放棄の金額も当然のことながら自分本位では決められず会社として返済可能な金額(だいたい5~10年で返せるくらい)は返済しなければならないことなど、いろいろ厳しいものがあります。
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