与党大勝利が判明した後の「夢のような」市場のリアクション
勿論、トランプ政権は、関税作戦で製造業回帰を実現しようとしていますが、仮に実現するにしても、これはかなり先の話です。ですから、今、ドル安に振ってしまうと、単純に「輸入品が暴騰」して、インフレが暴走するだけとなってしまいます。そこで、あくまで推測ですが、可能性としてありうるのが、ドルの独歩安ではなく、円の独歩高を演出するというシナリオになります。
トランプ氏のコア支持者、特に中高年の支持者には、例えば自動車戦争のような日米貿易摩擦の記憶を抱いている人が多いわけです。(中略)一方で、ウォーシュ氏の世代は、経済大国ニッポンを教科書でしか知らない世代ですし、実際に円が独歩高になっても、アメリカ経済には大きな影響はないし、政治的効果になるのならやっても良い、そんな議論がある可能性もあります。
そう考えると、全くの想像ですが、高市氏が選挙で大勝して、市場から円売りと日本国債売りの強い圧力を受けた場合に、トランプ政権とFRBが何らかの方法で、円の独歩高を歓迎するように動いてくれれば、という話が成立するわけです。つまり、日本円は上げ圧力と下げ圧力によって均衡する、言い換えれば市場の売り圧力と拮抗する形で、結果的に為替安定が実現されるわけです。
これは実は非常に綱渡りのような話であり、円高、円安のどちらに振れても、日本経済は瞬殺ということになりかねません。
「円高に一気に振れてドル円が120円などになれば、国外で稼いでいる企業の3月決算は悲惨なことになり、株も大暴落。4月の賃上げなども全て吹っ飛ぶ。更に利益確定のために外資による不動産相場の投げ売りも生じかねない」
「反対に、円が暴落して170円などになれば、物価が一段と上昇。またつられて債券が下がれば、金利がかさんで国債費の予算が組めなくなる」
まさに、行くも地獄、引くも地獄というわけです。とにかく、高市氏は「あのタイミングで総選挙をやって、政治的安定を実現」するしか政治的に、またこの国の経済を維持する道はなかったのかもしれません。とにかく、アメリカは利下げをする、また円高を望むかもしれない、国民は減税を望んでいる、という悪夢のようなトライアングルがあり、そこを突破することが喫緊の課題であったのです。
そして、ここが大切なのですが、選挙後に与党の大勝利が判明した後の市場のリアクションとしては、
「ドル円は156円から7円で安定」
「債券相場はやや金利が下がる方向で安定」
「にもかかわらず日本株は改革期待で暴騰」
という夢のような展開になりました。ここまで持っていくのに、片山財務相や麻生太郎氏は、何をしたのかは謎ですが、とにかく相当なことをしてアメリカを説得し、アメリカを利用したのだと思います。そんな中で、タイミングとして、絶妙なのは、3月19日に高市総理の訪米がセットされていることです。この機会に高市総理としては、為替の安定が相互にウィンウィンの関係になるというアピールをしたら良いと思います。
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