なぜ立憲は歴史的大敗を喫したのか?中道改革連合という「野合」が招いた支持層“離反”の代償

 

国民の側に求められる「鑑識眼」の研ぎ澄まし

念願の安定政権を実現したように見えるが、この先、「死角」はないのだろうか。高市首相は9日の記者会見で、衆院選の勝因について次のように語った。

「責任ある積極財政への大転換、安全保障政策や政府のインテリジェンス機能の強化などの重要な政策転換を訴えてきた。この重要な政策転換についての訴えが信任をいただけたものだと受け止めている」

国民が信任してくれたのだから、やりたい政策をどんどん進めていくという宣言だ。参院ではいぜん少数与党だが、衆院に3分の2の議席があれば、参院で法案が否決されても、再可決し成立させることができる。第2次安倍政権が特定秘密保護法や安保関連法制を強行採決できたのは「3分の2」があったからだ。

だが、図に乗ったらろくなことはない。少数与党の弱みから、これまでは頭を使って賢く立ち回る必要があった。笑顔と低姿勢が好ましい印象を残した。党内基盤の弱い女性政治家が首相にまでのぼりつめ、利権、貸し借り、義理人情でがんじがらめになった古臭い政治に立ち向かうストーリーを、国民の側が勝手に思い描くこともできた。

統一教会との関係をめぐる新たな疑惑が週刊誌報道で浮上し、選挙期間中には「円安ホクホク」発言が飛び出したが、高市首相への国民の期待感にかき消され、選挙結果にはつゆほどの影響ももたらさなかった。これといって政治的な実績を残していない段階で国民の審判を求めたことに疑問は残るが、戦略としては成功だった。

これから高市首相は「強い政権」のトップとして君臨することになる。世間の見方もそれだけ厳しくなる。高い支持率を維持していけるかどうか。「国民の信任」をカサにきて、国会軽視に走れば、たちどころに世論の風向きは変わる。期待感が大きいだけに、裏切られたと感じたときの国民の反発は強いだろう。

安全保障、インテリジェンスの強化を重視するのはけっこうなことだ。しかし高市首相の思い入れが強いといわれる「スパイ防止法」や「対外情報庁」といった政策は、情報統制や個人の権利侵害につながるおそれがあり、導入するには野党がしっかりとチェック機能を果し、国民的な議論を深めることが肝要だ。

最大野党の壊滅的敗北によって、政権に対する野党の追及が鈍れば、ペンの力にも影響が及ぶだろう。強い政権にすりよる御用メディアが跋扈し、その忖度報道によって目をくらまされないよう、国民の側も鑑識眼を研ぎ澄ましておく必要がありそうだ。

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image by: 首相官邸

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