社民党は“会見から追い出し”、共産党は“人格攻撃”。日本の左翼政党が抱える「組織的パワハラ」の深い闇

 

「左翼」と「リベラル」は対立概念である

この田村の言葉は、毛沢東『矛盾論』に照らして言えば、本来は組織内の「対話を通じて意見の違いを熟成させ止揚させていくべき和解可能な内部矛盾」と、それが不可能な「敵対的矛盾」の区別をつけられないという、初歩的な弁証法的理性の欠如の典型である。私に言わせれば、こんな人物に共産党の委員長など務まるはずはないと思うが、まあ人材不足ということなのだろう。

「党の正規の会議で正規のルールにのっとって」だと? 笑わせてはいけない。私は学生運動華やかなりし60年代後半に早稲田の学生総細胞サブキャップとして党員・民青同盟員700人余を率いていた時代に、党の直接の上部に当たる新宿地区委員会の「赤旗日曜版を明後日までに100部読者拡大してこい」とかいった理不尽極まりないノルマの押し付けなどに抗議する手紙を(新宿地区に出しても握りつぶされるから)東京都委員会や中央委員会の正式・非正式ルートに乗せて何通届けたか分からないが、一度として返事すら貰ったことはない。規約にそう書いてあるということと実際にその通りに運用されているかとの間には天と地ほどの違いがあって、この党の問答無用・上意下達の軍隊式の「命令」体質の酷さは経験したものでないと分からない。

私がようやく大学を卒業することになった頃、今度は都委員会のK部長から呼び出しがあり、「憲法会議という団体があり、そこで事務局長の人材を必要としているので、ぜひ君に行ってもらいたい」と言う。「冗談じゃありませんよ。私は今までの活動経験と卒論の内容の延長でジャーナリストの道を選ぼうと決意をしてすでに就職の目処も立っているのでお断りします」と答えると、Kは怒って「何だ君は党の決定に従えないのか!」と怒鳴る。「決定だなんて嘘をついちゃいけませんよ。都の常任委員会で私の就職先を決議したんですか? もし本当にそうなら、再度会議を開いて私を出席させて反論の機会を与えて下さい」「いや、もう決まったことだ」——と廊下の応接セットで押し問答していると、そこへ旧知のT副委員長が通りかかって「おお、高野君、ここで何してるんだ」と言う。これこれだと説明すると、Tは「そんなことを都委員会が『決定』する訳がないだろう。K君、出まかせで『決定』など振りかざしちゃダメだよ。高野君に謝りなさい」と言ってくれて、私の人生は救われたのだった。

しかしその後も、私があらぬ嫌疑で党中央に「拉致・監禁・査問」されて重ねてさらに酷い目に遭ったことについては、『INSIDERの50年』に少しだけ書いたので参照して頂きたい。

共産党は口を開けば「民主集中制」がいかに優れた仕組みかを宣伝するが、実態は無能な党官僚どもの出鱈目な組織運営の道具に成り下がっていて、それこそが同党の長期低落傾向の重要な要因とさえなっているのである。

今回の出来事でも改めて印象付けられるのは、社民党と共産党に共通する古色蒼然の組織感覚である。《表》は、私が以前から講演などで用いてきた「リベラルと左翼の比較対照表」で、以前に立憲民主党の時だったかもっと前だったか、超党派の「立憲フォーラム」で配布してお話しをしたら、すぐに演壇に寄ってきたのは長妻昭=元厚労相と小川淳也=現中道共同代表の2人で、「これ、面白い」「どこの有名な政治学の先生が作った表ですか」と言うから、「何を言うか、私のオリジナルだ」と答えたのだった。

福島の妄言に対する朝日新聞デジタルでのコメントで、中北浩爾=中央大学教授が「社民党はいよいよ存続の危機に直面しているといえます。記者会見の動画を見る限り、現執行部の異論封じは、寛容なリベラルからは程遠いといわざるをえません」と言っているのを見ると、彼はリベラルと左翼は別物であることを理解していないようだ。ぜひこの表を前に、なぜ日本に本物のリベラル政党が育たないのかを一緒に考えて頂きたい。

《表》リベラルと左翼の比較対照表

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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