高額療養費制度見直しという冷徹政策
で、ここまでは、あたしには珍しく高市首相の政策を評価しましたが、「飴」の次は「鞭」と言うわけで、同じく医療に関する高市首相の政策でも1ミリも理解できないものにツッコミを入れさせていただきます。それは、多くの医療団体や患者団体が大反対しているのにも関わらず、そうした声を完全に無視して高市首相が強引に進めた「高額療養費制度の見直し」です。
日本の「高額療養費制度」は、現行では所得によって5段階に分かれています。一例として、中間的な所得(年収約370万円~770万円)で70歳以下の場合は、月の上限額が8万100円です。また、70歳以上の場合は、年収に応じてさらに上限額が下がります。つまり、1カ月の医療費がどれほど掛かろうとも、患者の自己負担は最大8万100円でいい、というありがたい制度です。
ただし、まずは全額を自己負担して、審査後に上限額を超えた金額が返金されるシステムで、返金されるまでに3カ月ほど掛かります。また、入院時の差額ベッド代や食事代、癌などの先進医療の技術料など、対象外の項目もあります。それでも、この制度のお陰で医療を受けられている人は数えきれないほどいます。たとえば、癌で入院して手術を受け、その後、抗がん剤や放射線治療を受けた場合、1カ月の医療費は3割負担でも数十万円になります。
これでは、中には支払いが無理だからと治療を諦めてしまう人も出て来てしまいます。しかし、この「高額療養費制度」を使えば、いったんは数十万円を支払わなければなりませんが、先ほどの条件の人なら、8万100円以上は3カ月後に返金されるのです。さらには、もっと年収の低い人なら、自己負担の上限額は5万7600円、さらに年収が低ければ3万5400円です。これなら何とか払えると思います。
石破政権が見送った制度改悪をマッハで復活
この制度のお陰で治療が受けられた人、命が助かった人がどれほどいるでしょうか。それなのに、高市首相は今年8月に自己負担の上限額を一律7%引き上げ、さらに来年8月には現在5段階の所得区分を13段階に細分化して、それぞれの上限額を変更すると言うのです。現在、上限額が8万100円の人は、今年の8月から8万5700円になり、1年後にはさらに引き上げられるのです。現在5万7600円の人は6万1600円に、3万5400円の人は3万7900円に、今年の8月から引き上げられるのです。
ちなみに、この「高額療養費制度の見直し」が決定したのは、2025年1月、石破茂政権の時です。しかし、多くの医療団体や患者団体から「これでは治療断念に繋がってしまう」と反対の声が挙がりました。すると、石破首相はそれらの声をちゃんと聞いてくれて、3月に引き上げを見送ると発表したのです。そして、もう遠い記憶となってしまいましたが、自民党安倍派の裏金議員どもの「石破おろし」によって、この年の10月、首相の座から引きずり下ろされたのです。
で、今の高市政権がスタートしたと思った瞬間、高市首相は前任の石破首相が見送った「高額療養費制度の見直し」をマッハで復活させ、就任からわずか2カ月後の12月に、現在の「2026年8月に一律7%、2027年8月に細分化して再度引き上げ」という改定案を発表し、2026年度の予算案とともに閣議決定したのです。つまり、2026年度の予算案が成立すれば、この「高額療養費制度の見直し」も自動的に決定してしまうという、審議無視の乱暴なやり方でした。
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