3.軽油で結ばれた米ロ、置き去りにされるウクライナ
【3-1.電話一本の取引】
トランプ大統領とロシアのプーチン大統領は10月9日、約90分間、電話で会談しました。タス通信によれば、両首脳は石油製品に関する共同声明を出しています。
トランプ大統領はSNSで、ロシアが30万トンを超える軽油を「直ちに」、11月に50万トン、その後に100万トン、さらに製油所の状況次第で300万トンを供給すると明らかにしました。
合計すれば約480万トンで、米ブルームバーグ通信は、このうち当初の約180万トン分を約1,350万バレルと換算しています。
米財務省の外国資産管理室(OFAC)は同じ9日、一般許可135号を出し、ロシア関連の制裁規則のもとで禁じられてきたロシア産の軽油の販売や輸入にかかわる取引を、2027年4月7日まで認めました。ロシアのノヴァク副首相も、軽油の輸出の制限を予定より早く解除し始めると述べています。
米自動車協会によれば、米国の軽油の全国平均の小売価格は10月8日に1ガロン6.28ドルで、9月に初めて6ドルを超えてから高止まりしていました。
トランプ大統領は、米国民、とりわけ農家や牧場主、トラックの運転手のために価格を下げることが自らの最優先事項だと書いています。ウクライナの通信社UNNは、トランプ大統領が記者団にプーチン大統領への感謝を口にしたと伝えていますが、他の報道では確認できていません。
ただし、これはあくまで制裁の規則のうえで取引を認める許可であり、2022年に議会が法律で定めた輸入の禁止そのものを解くものかどうかには争いがあります。2022年4月に成立した米国のロシア産石油輸入禁止法は、関税分類の第27類にあたる、軽油を含むロシア産のエネルギー製品の輸入を禁じています。
同法によれば、大統領が禁止を解くには、ロシアがウクライナ政府の受け入れる形で部隊の撤退と戦闘の停止に合意したことなど三つの条件を満たしたと、書面で議会に証明しなければなりません。しかも、その証明の45日前までに議会の関係委員会と協議して報告書を出し、証明の後も、不承認の合同決議が成立しないまま90日が過ぎて初めて禁止が解けます。
政権がこの手続きをとったという報道は、15日の時点で見当たりません。ベッセント財務長官は「持てるあらゆる法的権限を使う」と述べていますが、具体的な根拠は示していません。
2022年の法律は禁止の実施を大統領令14066号に沿って行うと定めているため、政権はこの大統領令に基づく許可の権限を根拠にする可能性がありますが、それが法律の定める解除の手続きに代わり得るのかについては争いがあります。
英国の法律事務所クライド・アンド・カンパニーも、一般許可は2022年の法律と緊張関係にあり、法廷で争われる可能性があると指摘しています。
実際の取引も、まだ形になっていません。ロシアのバルト海の港プリモルスクでは13日に軽油の積み出しが再開されましたが、ロイター通信によれば最初の船の行き先はモロッコで、米国に向かう軽油の船は確認されていません。
【3-2.「誕生日プレゼント」】
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