「一発当確」か「接戦」かで変わる与野党逆転のシナリオ
それでは、臨場感といいますか空気感を確認するために、個別の選挙区に関する検討をしてみることにしましょう。まず、与野党逆転を象徴する3つの選挙区です。今回の逆転傾向という構図を最もよく表しているのは、2024年にトランプ氏とほぼ互角だった郊外・地方都市の選挙区で、共和党現職が軒並み劣勢に回っている状況だからです。
1.ニューヨーク州17区:マイク・ローラー議員(共和、現) vs ケイト・コンリー候補(民主、新人)
ニューヨーク市の北、ハドソンバレー地方の郊外区です。共和党のマイク・ローラー下院議員は3選を目指していますが、2024年にハリス氏が勝った地区を持つ共和党議員は全米で3人しかおらず、最も危ない共和党現職とみなされています。ローラー氏は地元出身で、トランプ大統領の政策をケーブルテレビで擁護する一方、超党派志向の穏健派を自任してきました。
挑むケイト・コンリー氏はハーバードと陸軍士官学校(ウエストポイント)出身の女性軍人で、16年間の現役勤務でイラクとアフガニスタンに6回派遣され、その後ホワイトハウスの国家安全保障会議で対テロ部長を務めた人物です。
6月23日の民主党予備選は5人の争いとなり、事前の予測市場では地元ロックランド郡議員のベス・デービッドソン氏が優勢とされた時期もありましたが、コンリー氏が資金力で100万ドル以上の差をつけ、約49%対32%で快勝しました。ウエストチェスター郡で53%を取り、デービッドソン氏の地元ロックランド郡でも僅差で上回ったことが勝因です。
コンリー陣営は、ローラー氏が「トランプ氏に100%同調してきた」と攻撃し、医療保険(メディケイド削減を含む大型減税法への賛成票)、関税、イラン戦争に伴うガソリン高を前面に出しています。対するローラー氏はコンリー氏をニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長ら民主社会主義者と結びつけ、さらに「地元に住んでいない」と批判しています。
ローラー氏は6回の討論を提案しましたが、コンリー氏が応じたのは地元局の2回のみでした。9月28日のニューズ12の討論ではローラー氏がマムダニ市長を非難するよう繰り返し迫って優位に立ちましたが、10月14日のピックス11の討論ではコンリー氏が落ち着いた受け答えで巻き返したと評されました。ローラー氏はこの討論ではトランプ氏と距離を置く姿勢が目立ちました。資金面ではローラー氏が大きく優位で、手元資金は約5倍とされます。
まあ、このNY17区は、東海岸ですから当日は一番早く開票が進む地域です。コンリー氏が一発当確を出せば民主党優位のムードになるのは間違いありません。反対に、接戦になるようだと与野党逆転のシナリオが狂ってくるかもしれないのです。
この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ









