トランプの不人気が共和党を直撃。物価高とイラン戦争も加わる「三重の逆風」で“既定路線”となった民主党の下院多数派奪還

 

「アメリカン・ドリームの体現者」に挑む女性軍人候補

3.アリゾナ州6区:フアン・シスコマニ議員(共和、現職) vs ジョアンナ・メンドーサ候補(民主、新人)

ツーソン北部の郊外からメキシコ国境に近いアリゾナ州南東部の砂漠地帯までを含む地区です。フアン・シスコマニ議員は2022年に6,000票足らずの差で初当選し、2024年も得票率50.0%で辛勝しました。

現職のシスコマニ氏はメキシコ生まれの移民で、「アメリカン・ドリームの体現者」を自任し、下院歳出委員会の国土安全保障小委員会で副委員長を務めています。トランプ大統領や地区内の超党派の郡政委員11人の支持を得て、7月21日の共和党予備選は無投票でした。

一方で、民主党のジョアンナ・メンドーサ氏は農場労働者の家庭に育った海兵隊出身の退役軍人で、これまた女性軍人候補です。過去2回の候補だったカーステン・エンゲル氏が出馬を見送り、他の候補も次々と撤退したため、メンドーサ氏は党内の支持を一本化して予備選を無投票で通過しました。資金集めは全米の民主党挑戦者で上位に入り、累計ではシスコマニ氏を上回っています。

9月10日の州クリーン選挙委員会主催の討論では、経済、国境、医療で激しくぶつかりました。メンドーサ氏は「相手は9回も関税に賛成票を投じた」と物価高の責任を追及し、メディケイドや食料支援(SNAP)の就労要件強化で地方の病院が10年で12億ドルの減収を受けると批判しました。

シスコマニ氏は、ホワイトハウスが当初求めたさらに深いメディケイド削減を押し返し、500億ドルの地方病院基金を盛り込ませたと反論しました。国境問題では、シスコマニ氏がメンドーサ氏を「国境開放派」と呼び、メンドーサ氏は「事実ではない」と否定しました。メンドーサ氏はイラン戦争について「計画も出口戦略もない」と政権を批判しています。両候補とも討論の勝利を主張しました。

この選挙区も非常に重要で、「保守に流れていたヒスパニック票が戻るか?」「女性軍人の民主党候補は勝てるか?」といった視点からも注目されます。

この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • トランプの不人気が共和党を直撃。物価高とイラン戦争も加わる「三重の逆風」で“既定路線”となった民主党の下院多数派奪還
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け