それでも、ごくまれに契約書をそのまま自宅へ持ち帰り、何故か相手に見つけられてしまうことがあります。
そしてここからが、探偵にとってさらに怖いところ!
契約書を見つけた対象者の多くは、その場で依頼者を問い詰めます。
そこで口論になれば、依頼者から探偵事務所へ連絡が入り、僕たちも調査が発覚したことを把握できます。
しかし、なかには契約書を見つけても、何も知らないふりをする人がいるんです。
依頼者には何も言わず、普段どおりに生活しながら、探偵が現れるのを待つのです。
この場合、探偵側は、対象者が調査の存在を知っていることを知らないまま、通常の調査として現場に入ることになります。
もちろん、僕たちは普段から対象者の警戒を想定して調査を行います。
それでも、通常の対象者と、探偵を見つけるために意図的な行動を取る対象者とでは、対応が大きく異なります。
どこまで近づくのか、どこで距離を取るのか、どの時点で調査を中断するのか。相手の警戒度に応じて、判断を変えなければなりません。
過去には、探偵をあぶり出すために、わざと不自然な動きをする対象者もいました。
僕自身、探偵を16年続け、これまで何千件という案件に関わってきましたが、そこまで意図的に探偵を探そうとする対象者は、記憶にある限り一人か二人程度です。
非常に珍しいケースですが、実際に存在します。
追う側にとっては、かなり恐ろしいことですね。
契約書を見られることは、一見すると単純な保管ミスです。
しかし、その一枚によって対象者の行動や警戒度が変わり、依頼者だけでなく、現場に入る調査員にも影響が及ぶ可能性があります。
僕たちにとっては、自分たちだけでは完全に防ぐことのできない、怖い情報漏洩の一つです。
では、対象者が強く警戒している場合、調査はもう不可能なのでしょうか?
実は、必ずしもそうとは限りません。
相手が警戒していることを事前に把握できれば、その前提に合わせて調査方法や体制を組み直すことができるからです。
依頼者との関係性や案件の状況を確認し、安全に進められると判断できれば、調査を行い、必要な証拠を確保できる可能性はあります。
ただし、通常より難易度が高く、経験と慎重な判断が求められる調査になります。
対象者を尾行する技術だけでなく、相手が何を知り、どの程度警戒し、こちらをどのように探そうとしているのかまで読む。
こうした場面に対応できるかどうかも、探偵の経験や技術が表れる部分だと思います。
調査は、現場に出たときから始まるわけではありません。
契約書をどこに保管するのか、対象者とどのように接するのか、調査中に何を話さないのか。依頼者と探偵が情報を守るところから、すでに調査は始まっているんです!
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