生きていくことに最低限のことはスパルタでいい
最後に、もう一人の50歳くらいの、知的水準の低めの方。健診結果で脂質異常とメタボリック症候群を指摘されて私の外来へ。まず歩くことを指示し、1ヵ月後の受診。その方は体重が3kgも落ちてお腹まわりもすっきり。体重測定した看護師さん、栄養士さん、そして私に「よく頑張ったね!」と声をかけられ、「どうやって痩せたのですか?」と質問したら「○○駅から△△まであるいて……そして引き返して××に行って……」とても不器用な返答でしたが、そこには明らかに努力の後が……。
そしてちょっと涙ぐみながら「先生、本当にありがとう、おれ嬉しい、ありがとう……」と言ってくださった。
たぶん、この方、何をやっても「駄目だ」ばかり言われてきたのじゃないかな……。50歳といえばそういう年代、今回の「歩く」という努力が実を結んだのです。
駄目なものはダメ、生きていくことに最低限のことはスパルタでいいのです。毎年健診で体重が増加する一方の重役さんたち、少しは見習ってほしいのです。
最後に強調します。食育はスパルタだっていい。強引な「手法」ですが、私が最も大事だと思っていることは「空腹を感じさせる時」。
乳児アトピーの赤ちゃんのミルク、すごく不味いらしいのですが、小児科の先生がお母さんに、「最初は飲まないけど、背に腹は変えられないから絶対飲みますよ」そうですねえ。
今回はかなりきついことを話しました。ごめんなさい。
それで高校生の食育のテーマの一つに
みための食育学。アンチエイジング学会の分科会に「みためのアンチエイジング」というのが存在します。突き詰めるところ、美学という道なのですよ。 これは教える価値のある項目です。
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