【日米韓に大被害】核をもった北朝鮮をアメリカは攻撃できない

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ドニロン大統領補佐官(国家安全保障担当)もまた、ニューヨーク市内でのオバマ政権のアジア太平洋政策をテーマにした講演(2013年3月11日)で「米国は米国を攻撃目標にできるような核ミサイルを開発しようとするのを傍観しない」と発言していた。

では、現実に米国は北朝鮮に対して先制攻撃ができるのだろうか?

先制攻撃にせよ、迎撃にせよ、北朝鮮の反撃は避けられない。北朝鮮は2009年4月のテポドン発射後に訪朝した米高官に対して「迎撃されれば、日米のイージス艦を撃沈する態勢にあった」と伝えている。

数年前に公開された北朝鮮の記録映画をみると、金正恩第一書記がミサイル発射を父親の金正日総書記と共に平壌の管制総合指揮所で参観していたことが確認されているが、映画では「仮に迎撃された場合、戦争する決意であった」との金正恩氏の発言がナレーションで紹介されていた。

クリントン政権下の1994年の北朝鮮核危機では国防次官補として軍事攻撃を進言したアシュトン・カーター氏は2006年にもワシントン・ポスト紙にペリー元国防長官と共同で「必要なら、攻撃し破壊せよ」と題する論文を寄稿し、北朝鮮に対する先制攻撃論を展開していたタカ派の一人である。

その彼が、北朝鮮が核実験を行った後は、持論を変え、韓国紙(「中央日報」2007年1月7日付)のインタビューで「北朝鮮の核兵器を効果的に除去するための外科手術的攻撃はもはや不可能である」と述べている。カーター氏は昨年12月に辞任したヘーゲル氏の後任として現在、国防長官の座にある。

北朝鮮は1994年の時と違い、核とミサイルを保有している。韓国に対してだけでなく、同盟国である日本、さらには米本土への核攻撃も可能だ。

「北朝鮮は金正日(総書記)の生存危機を感じなければ米国に向け核を使用することはないだろう」と2009年に聴聞会で発言した米国家情報局(DNI)のジェームズ・クラッパ局長は2年後の2011年にも「敗戦寸前にならない限り、北朝鮮は核を使用しないだろう」と証言していたが、北朝鮮の核攻撃をいかに憂慮しているかがわかる。

北朝鮮の核報復を招きかねない先制攻撃、軍事力の行使には米世論の半数以上が反対している。5年前に行った米国内の世論調査では回答者の46%が北朝鮮の政権打倒を目的とした軍事攻撃に反対していた。「賛成」と答えたのは36%だった。

オバマ大統領は1月22日のユーチューブのインタビューで「軍事的な解決は考えていない」と強調し、その理由について「我が同盟国の韓国が北の真横に接していて、もしも戦争が勃発すれば想像を絶する、深刻な被害を韓国は受けるから」と説明していた。

今や、戦争による被害は韓国に留まらない。同盟国の日本にも、米国自身にも及ぼす。従って、先制攻撃の能力はあったとしても、もはや不可能に近いだろう。

 

『辺真一のマル秘レポート』 Vol.42より一部抜粋

著者/辺真一
1947年東京生まれ、明治学院大学英文科卒業後、新聞記者(10年)を経て、フリージャーナリストへ。朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊、現編集長。毎回驚きの真実をリークするメルマガは人気を集めている。
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