今やすっかり朝の顔となりつつあるシリアルの定番商品のひとつが、カルビーから発売されている「フルグラ」。無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんは、シリアル市場とフルグラ成長の歴史を振り返りつつ、なぜか低迷するカルビーの株価の謎について投資家目線で分析しています。
カルビーの「フルグラ」が好調でも株価低迷のワケ
「フルグラ」の大ヒットにより、スナック菓子メーカー最大手の「カルビー」の業績が絶好調です。
カルビーの2016年3月期決算は、売上高が2,461億円(前年同期比10.8%増)、営業利益が281億円(16.3%増)、純利益が167億円(19.0%増)となり、過去最高を記録しました。
シリアル食品のフルグラが好調で、シリアル製品の同期の売上高は241億円となり、前年同期比47.7%増となっています。フルグラの業績について、松本晃会長兼CEOは決算説明会において「昨年の売上高は223億円。今年は300億円、3年して500億円を目指す」と述べています。
フルグラの歴史
カルビーのフルグラの歴史を簡潔に記します。カルビーは1988年にシリアル事業をスタートさせました。翌89年にグラノーラなどシリアル製品5アイテムを市場に投入しました。91年にドライフルーツが付け加えられた「フルーツグラノーラ」が誕生しています。
フルーツグラノーラの売り上げは低迷していました。そこで同社は市場のポジショニングを「シリアル食品市場」から、和朝食やパンと並ぶ「朝食市場」に変更し、11年に商品名を「フルーツグラノーラ」から「フルグラ」へと変更しました。健康志向の高まりや、朝活の活況などにより朝食が見直され始めたこともあり、フルグラは大ヒット商品へと成長していきました。
国内のシリアル市場は急成長しています。日本スナック・シリアルフーズ協会によると、2015年のシリアル生産額は537億円で、11年の264億円と比べて2倍以上の規模に成長しました。特に「グラノーラ」のカテゴリーの伸びが顕著で、11年は61億円しかありませんでしたが、15年には369億円と6倍以上の規模に成長しています。
上記から、カルビーの「フルグラ」がシリアル市場を牽引していることがわかります。また、フルグラだけで同社の売上高のおよそ1割も稼ぎ出しています。