「ブレークスルー」と呼ばれる革新的な商品の開発に大変な労力を要することは、ビジネスの現場に身を置く人間なら誰しも知っていること。ところがそんな商品を、とある企業が「大学生ならではの視点とネットワーク」を駆使して完成させ話題となっています。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、大手企業と大学生が共同開発した「ブレークスルー商品」の戦略と戦術を詳細に分析・解説しています。
ブレークスルー
大学生が開発した人気の商品を分析します。
● フランスベッドと南山大学の学生との共同開発商品「RuCushion(りゅっくしょん)」
戦略ショートストーリー
リュックを使う方をターゲットに「体への負担を軽減する仕組み」に支えられた「重さを軽減(リュックが重いを解決)」「多機能」等の強みで差別化しています。
「りゅっくしょん」の価値である「リュックが重いを解決すること」を使い方動画で分かりやすく伝えることで、顧客の支持につながっています。
■分析のポイント
リュックを背負っていて、肩がつらくなった経験を持っている方は多いと思いますが、ほとんどの方が、「仕方がない」という思いで受け入れてきたのだと思います。
しかし、いまでは、そういった「仕方がない」という声を拾って、その声に向き合って商品化するような動きも出てきています。肩の負担を軽減する工夫を凝らした無印良品の「肩の負担を軽くするPCポケット付リュック」などは、その一例ですね。
そういった状況の中で「りゅっくしょん」がリリースされたわけですが、ポイントとなるのが、既存のリュックを改善する(リュックに機能を付加する)といういままでの延長線上で考えられたものではなく、リュックは既存のままでも、価値を提供(リュックが重いという不満を解決)できないかという新たな発想・視点で考えられたことです。
やはり、既存商品の延長線上でモノゴトを考えていてもブレークスルーと呼ばれるような革新的な商品を開発することはなかなか難しいものです。
新たな発想・視点であったからこそ、「りゅっくしょん」はいままで無かったモノ、既存のものから飛躍するようなモノとして世の中にインパクトを与えることができたのだと思います。
また、開発の過程で、試作品の数は12個にもおよび、手作り試作品を100人の女子大生に試着してもらうなど、発想(アイデア)を形にして、テストするという姿勢も素晴らしいと思います。新商品を開発する上で、仮説検証は非常に重要ですし、実際のユーザーの反応を早いタイミングで得ることは売れる商品作りには欠かせませんからね。
今後、「りゅっくしょん」が、世の中にどのように受け入れられていくのか注目していきたいです。