早ければあと数年で、アイドルとそのファンを取り巻く環境が激変するかも知れません。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では世界的エンジニアでアメリカ在住の中島聡さんが、現在Instagramのフォロワー数を猛烈な勢いで増やしつつあるバーチャル・タレントを紹介するとともに、その存在が人間のタレントから職を奪う時代が到来すると断言しています。
※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年6月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:中島聡(なかじま・さとし)
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。
私の目に止まった記事
● The Decline of Mass Advertising and the Rise of Influencer Culture
これは、知り合いのRobert Tercek(元PacketVideoのCEOで、一時はUIEvolutionに雇おうと交渉していた時期もありました)が書いた広告業界に関する記事ですが、非常に奥が深く、かつ明確な提言をしているので、広告ビジネスに少しでも関わっている人は、全文を丁寧に読むことを強くお勧めします。
簡単に要約すると、音楽ビジネスが情報革命により大きく変わることを強いられたように、メディアや自動車業界も同じような大変革が起こりつつあり、変革に乗り遅れた企業は、ことごとく淘汰されることは明白です。
そんな中で、広告代理店は、これまで情報革命による変化に上手に追従して来たように見えます。人々が情報を得る媒体が、新聞・雑誌・ラジオ・テレビからインターネットに移ったとしても、広告を人々に届けたいというニーズは常にあり、広告代理店は、そんな企業とFacebook/Googleの間に立つことにより、ビジネスを維持して来ました。
そのバランスを崩そうとしているのが「インフルエンサー」たちの存在です。InstagramやYoutubeで100万人を超えるフォロアーを持つインフルエンサーたちは、今やテレビのチャンネルよりも強い影響力を持っており、彼らを無視しては、広告代理店のビジネスは成り立たないのです。
インフルエンサーたちは、そのほとんどが自己顕示欲の強い個人で、彼らがフォロワーを集める一番の理由は、彼らの自己顕示欲を満足させることにあり、そこが必ずしも広告代理店の思惑と一致しないのです。
日本でもたまに、インフルエンサーが行なった「やらせ広告」が炎上することがありますが、その背景には、「フォロワーに対してスポンサーの広告を配信してお金儲けをする」行為そのものが、「フォロワーを増やして自己顕示欲を満足させたい」という目的と、相反する面があるのです。
そんな問題を解消するだろう画期的なアイデアがこの記事に紹介されています。バーチャル・インフルエンサーです。