米国在住の医学博士「しんコロ」さんのもとに、多発性骨髄腫になって7年が経過したという読者の方から「現在、寛解(病状が治まっておだやかであること)状態なので、もう抗がん剤を飲むのをやめたい。一生飲まないといけないのか?」という質問が届きました。しんコロさんは自身のメルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』の中で、「くれぐれもかかりつけ医師とご相談を」としたうえで、その質問について答えています。
抗がん剤って一生飲まなければいけないのでしょうか?
Question
こんにちは、私は多発性骨髄腫になって7年が過ぎました。現在寛解状態にあり、元気です。そこで抗がん剤をやめたいのですが、抗がん剤って一生飲まなければいけないのでしょうか? いろいろ理由はありますが、やはり高いと言
うのが一番ですね。今、レナデックスを週1回3錠、1か月3回です。
しんコロさんの回答
これは一概にはお答えできない難しい質問ですが、「一生」というのはかなり長い時間です。
特に多発性骨髄腫に関しては、現在新しい抗体薬、CAR-T細胞療法、分子標的薬など、様々な治療法が臨床試験にあります。それほど遠くない未来に新しく効果的な治療法が生まれてくる可能性が十分にあると僕は見ています。
そういった治療法に切り替えることで、これまでの化学療法を減らしたり最終的には不要になったりすることもありうると思います。
現在はレナデックスを服用されているとのことですが、ご自身の判断のみで止めるのは避けたほうが良いと思います。レナデックスは副腎皮質ステロイドなのですが、長期間服用するとネガティブフィードバックが起きて副腎からのステロイド産生が低下します。その状態で突然薬の服用をやめてしまうと、体内のステロイドが足りなくなって倦怠感、吐き気、頭痛などの症状が出てしまうことがあります。いわゆる「ステロイド離脱症状」という反応です。
まずはそもそも薬をやめても良いかどうか、かかりつけ医としっかり相談をした上で、もし減らすという決断になった場合も、医師の指示の下に徐々に行う必要があります。
あくまでも一般的なお答えしかできず申し訳ありませんが、重要な判断なのでくれぐれもかかりつけ医師とご相談の上、検討をお願い致します。
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