もしも一年後、自分がこの世にいないとしたらあなたは今、何をしますか? 今回の無料メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』で本のソムリエさんが紹介するのは、 がん患者の心のケアをする専門医が書いた一冊。生きている今の時間をどう過ごすかを改めて考えさせられる本です。
清水研 著/文響社
著者はがん患者の心の病気の専門医(精神腫瘍医)です。そのような職種のお医者さんがいるとは知りませんでした。
著者は仕事としてがんによって自分の死に直面した患者さんが、「残りの時間をどう生きたらよいのか」と悩み苦しむ姿と毎日向き合っています。
著者が仕事を始めて気付いたのは、実は自分自身が今の時間をどう生きたら幸せなのかわかっていなかったということです。
「このままでよいのだろうか?」と漠然とした疑問を感じながらも、自分自身が充実感のない日々を過ごしていたのです。
人は死の直前になって、心のままに生きていないことに気づく(p93)
人が自分の死と直面したときに、強いストレスを受けるのは当然のことでしょう。あると思っていた10年後の自分が存在しないかもしれないわけです。がん告知後1年以内の自殺率は、一般人の24倍だという。
ただ時間とともに、心の動揺は避けられない運命を受け入れる気持ちに変わってきます。例えば、未来のために努力してきた人にとって、未来がなくなった今をどう生きるのかということを考えはじめるのです。
死を意識してはじめて、当たり前だと思っていたことに感謝の気持ちが出てくるという。
今日一日があることに感謝する。家族と一緒の時間を大切にする。自分のやりたいことに時間を使う。普通の日々の連続が幸せであったことに気づくというのです。
人生で大切なことは何か考えると、行動が変わります(p66)
確かに「人は必ず死ぬ」とはいえ、人生100年時代といわれる現代社会では自分の死というものを意識する時間が少ないように感じます。
時間がたくさんあるがゆえにその時間を無駄にしてしまう可能性が高くなっているのが、現代社会なのでしょう。
タイトルのように「もしも一年後、この世にいないとしたら」と考えてみると、何かが変わっていくのかもしれません。
清水さん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★★☆(82点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)
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