現在開催中のサッカー女子ワールドカップの試合でも度々見られる、迫力満点のヘディングプレー。しかしその頭部への衝撃は、選手たちに深刻な健康被害をもたらす危険性があるようです。今回のメルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』では著者の伊東さんが、プレーヤーの脳にヘディングが与える悪影響をさまざまなソースを引きつつ解説。さらに各国で進む対策を紹介しています。
プロフィール:伊東 森(いとう・しん)
ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。
サッカー女子W杯開催中だからこそ考えたい、ヘディングにおける脳震盪のリスク サッカー界を動かした大規模研究 進む対策
サッカー女子W杯が佳境に入っている。当初、その試合中継さえ危ぶまれていたものの、しかしなでしこジャパンは順当に予選リーグを全勝で突破。決勝トーナメント1回戦でもノルウェーに勝ち、準々決勝進出を決めた。
だが、こういうとき“だからこそ”、サッカーのとくにヘディングにおける脳震盪の危険性について私たちは考えなければならない。
筆者自身がサッカーにおけるヘディングの際の脳震盪の危険性についての文献を初めて目にしたのは、2000年代初頭にさかのぼる。
その当時から、とくにサッカー文化について長い歴史を持つイングランドでは、ヘディングの際の脳震盪の危険性については、選手の間で、もう“古くから”語られていた。
サッカーのヘディングは、まずスポーツの中でも直接頭にボールを当てなければならないという珍しい技術をもつ。
しかしその過程において、脳震盪だけでなく、認知症や慢性頭痛、慢性外傷性脳症(CTE)などの症状が懸念される。
脳だけでなく、ヘディングの際に首をひねることによる頸椎捻挫などの症状も懸念が。
サッカーのヘディングの危険性は、
「イングランドの元プロサッカー選手ジェフ・アストル氏の死はヘディングによるCTEである」
というニュースによりクローズアップされた。このことにより、研究や調査が進んだ。
スポーツの脳震盪としては、よくラグビーやアメリカンフットボールの危険性が挙げられている。
しかしながら、頭に直接ボールを当てたり、アメフトのように防具はなかったり、脳震盪などから選手を守るルールが未整備なサッカーは、脳震盪のリスクがあまり伝えられてこなかった。
一方で、全世界に巨大な市場を持つとともに、レクリエーションスポーツとしても一般市民に広くプレーされるサッカーだからこそ、その“負の影響”は想像以上に広く及ぶ。
目次
- サッカー史に残る大事件
- サッカー界を動かした大規模研究
- 進む対策
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