ナチス・ドイツの「ファーストレディ」は“仮面夫婦”だったという事実

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自決する前日に結婚したヒトラー。ということは、ナチス・ドイツにはファーストレディと呼ばれる人はいなかったのでしょうか?今回の『歴史時代作家 早見俊の無料メルマガ」』では時代小説の名手として知られる作家の早見俊さんが、実は存在していたナチス・ドイツのファーストレディについて紹介しています。

ナチス・ドイツの代表的夫婦

一国の首相や大統領夫人をファーストレデイと呼びますね。ところで、ドイツ第三帝国、通称ナチス・ドイツのファーストレデイは誰だったのでしょう。アドルフ・ヒトラーがエヴァ・ブラウンと結婚したのは自決する前日のことで、それまでは独身を通していました。従って首相と大統領(国家元首)を兼任していたヒトラーの夫人はいなかったのです。では、ナチス・ドイツにファーストレデイは不在だったのかというと、ちゃんと存在していました。

マグダ・ゲッベルス、宣伝の天才と称される国民啓蒙宣伝大臣ヨゼフ・ゲッベルス夫人です。何故ヒトラーがマグダをファーストレデイにしたのでしょうか。マグダと不倫関係にあったからではありません。ゲッベルス夫妻にはマグダの連れ子一人を含め七人の子供がおり、マグダはナチスが推奨する良妻賢母の典型、お手本とされたからです。

そんなマグダの夫ゲッベルスとはどんな男であったのでしょう。彼は四歳の頃、小児麻痺を患って負った身体的障害を乗り越えようと複数の大学に学び、名門ハイデルベルク大学で哲学博士号を得ました。ナチス入党後は、宣伝部長となって選挙戦に多大な貢献をします。その功績でヒトラーが政権を獲得すると宣伝大臣に就任しました。ベルリンオリンピックを政治利用したのは有名です。オリンピック名物の聖火リレーはゲッベルスが初めて実施し、史上初のテレビ中継も行われました。

宣伝相としてマスメデイアを握ったゲッベルスは多くの女優と関係を持ちました。中でもチェコの女優リダ・バアロヴァとは真剣に愛し合い、マグダと離婚して宣伝相も辞し、大使として日本で新婚生活を送ろうと考えた程です。ゲッベルスに裏切られたマグダはゲッベルスの部下と不倫、夫婦関係は破綻しました。

しかし、ヒトラーは離婚を許さず、二人は仮面夫婦を続けました。第二次世界大戦が勃発すると、ゲッベルスは国民の戦意発揚に辣腕を発揮、マグダは銃後を支える良妻のシンボルとなります。ドイツを代表する理想の家族、ゲッベルス一家は仮面夫婦のままベルリン陥落の直前、ヒトラー夫妻の後を追い、子供達を道連れに一家心中したのでした。(メルマガ『歴史時代作家 早見俊の無料メルマガ』2024年5月27日号より一部抜粋)

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