世界に誇る日本の象徴・富士山。インバウンド観光客が押し寄せる中、「ローソン映えスポット」の交通混乱や、観光地でのトイレ不足といった問題が「外国人のマナー問題」として報じられています。しかし、その本質は本当に外国人のせいなのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では、著者で作家の冷泉彰彦さんが、富士山観光の利権構造と政治の癒着、そしてオーバーツーリズム問題を「外国人問題」にすり替える欺瞞を鋭く指摘しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:富士山ビジネスにおける『外国人問題』を許すな
富士山と富士急グループの関係
富士山に関して言えば、ここまで裾野が広い独立峰で、なおかつ上から見ると真円に近い成層火山というのは珍しい存在です。ですから、日本では古来から信仰の対象となってきました。その富士山の美しさについては、世界の誰もが認めるところであり、だからこそ日本観光の大きな目玉になっているわけです。
その富士山には大勢の観光客が押し寄せており、様々なトラブルが生まれているとされています。その富士山に関しては、これをビジネス資源として大きく活用しているのは富士急グループです。富士急は山梨の中堅運輸企業ですが、遊園地や宿泊などを伴うことで観光産業として長年活動してきました。
その富士急グループは、特に今回のインバウンド観光客による富士山観光ブームに関しては、これを大きな経営資源にしており、大きな収益源としているのは間違いありません。同時に富士急グループというのは、政治との密接な関わりがあります。堀内ファミリーは宏池会に関係して、一族が政治家になっています。
政治との密接な関わり
また、堀内ファミリーが後援して五輪で活躍した橋本聖子氏は、アスリートからやはり政界に進出しています。つまり、富士急グループというのは、政治との、特に自民党政権と密接に関わることで、事業を伸ばしてきたと言えます。そういうことはあるわけで、特に観光産業の拡大が国策として急務であった中では、必要な動きであったのかもしれません。
もしかしたら、土地の売買や許認可の規制緩和などで、政治との癒着とか、利権誘導ということもあるかもしれません。しかし、過去それほど大きなトラブルが報じられているわけではなく、この点において、同グループが極めて悪質であったということはないと考えられます。
問題はインバウンド拡大と、オーバーツーリズム問題です。富士急グループの姿勢ということでは、富士山観光へとインバウンドを誘客することには極めて積極的であったと考えられます。JR東日本とのコラボによる、東京から河口湖への直通運転拡大もそうですし、東京から河口湖などへの廉価な高速バスも運転しており、今は相当な輸送力を投入しています。
また、箱根にも商圏を広げており、芦ノ湖遊覧船などについては、明らかにインバウンド効果が拡大する中で、持て余していた西武Gからビジネスの譲渡を受けていたりします。別に批判したいのではありません。むしろ、インバウンド効果の受け皿をしっかり整備する方向に経営を振っているということは、評価してもいいと思っています。
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