金メダルも読書感想文コンクールも同じ構造。競争文化を再生産しているのは私たち自身だった

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「競争は良いことだ」という空気が、教育の現場にも社会にも根づいています。しかし、その競争文化を生み出しているのは制度でも社会でもなく、私たち自身かもしれません。金メダルを称え、賞を持てはやし、順位を喜ぶ——その意識が子どもたちを「他人軸」へと追い込んでいます。今回のメルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では、著者の松尾英明さんが、競争文化の本質と教育が本来めざすべき姿について語ります。

競争を作っているのは誰か

競争の問題を語るとき、

制度が悪い。 社会が悪い。 入試制度が悪い。

そんな話になりがちです。

しかし私は、少し違う見方をしています。

その構造を作っているのは、実は私たち自身ではないか。 そう思うのです。

称賛の空気が競争を育てる

例えばスポーツ。

金メダルを取れば、大騒ぎになります。 努力を称えること自体は、素晴らしいことです。

しかし、メダルを取った人だけが価値があるかのような空気。 そこに少し違和感を覚えます。

教育でも同じことが起きています。

何かの賞を取るととても褒められる。 代表に選ばれると特別な存在になる。

逆に言えば、そこに選ばれなかった子どもは、静かに扱われる。

図工でもそうです。 作品にA・B・Cをつける。 しかし芸術に 「これがAだ」 と断言できるほどの客観的な基準が本当にあるのでしょうか。

私は正直、図工にABCをつけることに対し、抵抗感が強いです。 美術展ではないのです。 本来の教育評価とはやると決めたことに取り組んだかどうか。 そこを見るものだと思っています。

読書感想文コンクール ポスターコンクール 夏休みの作品展

これらも本来は、子どもが表現する場のはずです。 しかし大人が設定した競技に子どもを参加させている。 そんな構造にも見えてしまうのです。

競争文化を再生産するのは私たちだ

そしてもう1つ思うことがあります。 こういう構造は誰か1人が作っているわけではありません。 私たちが称賛するから再生産されるのです。

週刊誌がくだらない記事を書くのも同じです。 読まれないなら書きません。 読まれるから書くのです。

つまりくだらない記事を作っているのは 週刊誌ではなく それを喜んで読む私たちです。

教育も同じではないでしょうか。

賞を持てはやす文化。 順位を喜ぶ文化。 代表だけを称賛する文化。

その空気を作っているのは制度だけではありません。 私たち自身です。

だから私は思います。 教育を変えるために必要なのは制度改革だけではない。 私たちの意識そのものを変えることなのではないかと。

「他人軸」が生み出す本当の問題

そしてもう1つ。 競争文化が生み出す1番の問題があります。 それは人が他人軸になることです。

人の評価で自分の価値を測る。 賞を取ったかどうかで自分を判断する。 そうなると学ぶことも挑戦することもすべて 「他人の目」のためになります。

しかし教育とは本来 他人と比べることではなく 自分の人生を引き受けられる人間を静かに増やす営みです。

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【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

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