トリノ市長の「ベジタリアン・シティ」構想に美食家たちが反発?

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イタリアのグルメの街、トリノで、菜食主義を推奨する動きが高まっています。この動きの中心人物となっているのは、今年6月にトリノ市長として当選した32歳の女性、キアラ・アペンディーノ市長。彼女の「ベジタリアン・シティ」構想に対する、トリノの人々の反応は?

そもそもベジタリアンとは?

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image by: Wikipedia

先日、11月1日は「世界ヴィーガンデー」だったのをご存知でしょうか?

今、世界では「菜食主義(ベジタリアニズム)」への注目が高まっています。

日本では菜食主義のことを「ベジタリアン」と一言で括ることが多いですが、実はその段階にはいくつかの種類があり、肉、魚は食べないが乳製品や卵は食べるとする、日本人の多くが認識している「ベジタリアン」と言われる段階、乳製品や卵さえも摂らない「ヴィーガン」、木の実以外は食べないという最も厳しい種類など、そのスタイルは様々。

菜食主義へ転向する理由にも、宗教、環境保護、動物保護などいろいろな背景があります

インドでは菜食主義人口が最も多く、その他すべての国の菜食主義人口を合わせた数よりも規模が大きいと言われています。

日本の2014年時点でのベジタリアン人口は4.7%

しかし、上記のように定義に複雑性が伴う事からも正確な数値を計ることは難しく、各国、各機関での統計にはバラつきがあるのが現状です。

イタリアのグルメの街、トリノでのベジタリアニズム

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ベジタリアンシティに生まれ変わる?イタリア・トリノ

image by: Wikipedia

そんな中、グルメの街として有名なイタリア第四の人口規模を持つトリノを、イタリアで初の「ベジタリアン・シティ」にするという構想が持ち上がり、議論を呼んでいます。

発端となったのは、今年6月にトリノ市長となった32歳の女性、キアラ・アペンディーノさんが掲げたマニフェスト。

食用の家畜の育成にはエネルギー消費が不可欠であり、その結果CO2を大量に排出してしまうことから、環境を考慮してこのベジタリアン・シティ構想を打ち出したと言われています。

具体的なプランとして、学校で子どもたちに動物保護についての教育を行ったり、観光客向けにベジタリアン・マップを作成したり、週単位での食肉禁止日を設けるなどの話が進んでいます。

当然ながら、この政策に反対する動きもあるようです。

肉の販売を行っている人の中には、この数年のベジタリアン・ブームで40〜50%も売り上げが落ちているのに、さらに拍車をかけるようなことはして欲しくないと言う声や、テレビやその他のメディアで、まるで肉は健康に悪いとも取れるようなメッセージを流していると批判する声も。

また、トイレットペーパーを設置する資金もない学校がある中で、そういう問題の解決よりも、動物保護教育に熱を入れるような市長の政策に疑問を持つ意見もあります。

しかし、今回の市長の政策とは別に、もともとイタリアでの菜食主義人口は増加傾向にあり、イタリアの統計機関による2016年時点でのヴィーガン人口は1%

前年比たったの0.4%増ですが、これでも他国のヴィーガン人口増加の平均速度を上回るスピードと言われています。

トリノ市内でもヴィーガン、ベジタリアンのレストランが30件以上となり、その多くはこの数年で開店しています。

高齢者は健康を考慮して、若年層は動物保護の観点から、肉を食べることを辞める人が増えているようです。

「もともとイタリアのカトリック教徒の間では金曜日は食肉禁止の日とされているけれど、実際に守っている人は少ない。ダイエットのためにこうしろってあれこれ指図されるのも大嫌いだし、もともとイタリア人は反権威主義の志向が強いから、政策としてやったところで大した影響はないよ」という市民の声も。

果たしてイタリア人気質が政策を打ち負かしてしまうのかどうか。

世界規模でのブームとは別に、イタリアの今後の動きが気になるところです。

image by: Shutterstock

source by The Guardian , Wikipedia

文/長塚香織

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