一見、普通の「土鍋」が異例の大ヒット。その驚きの理由は?

TX170323_2200_PR007 (1)
 

今、ある「土鍋」が主婦たちの間で話題を呼んでいます。その名も「かまどさん」。美味しいけれど火加減が難しいとされていた土鍋での炊飯が、いとも簡単にできてしまうという代物です。「「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)は、放送内容を読むだけで分かるようにテキスト化して配信。かまどを開発したのは「長谷園」という伊賀市にある老舗の工房。倒産の危機にあったという窮地を救ったのは、「伝統は毎日進化している」という柔軟な発想力でした。

自宅のご飯が絶品に~大人気「魔法の土鍋」

東京・恵比寿にある一見、見過ごしてしまいそうなお店。「イガモノ」という小さな焼き物屋さんが、女性たちに大人気となっている。彼女たちのお目当ては土鍋。ここは大小様々、200種類もの土鍋を扱う専門店だ。

店の一角にお客が集められて始まったのは料理教室。作っていたのは燻製だ。

燻製が作れる土鍋はその名も「いぶしぎん」(大、1万6200円)。土鍋の底にまず燻製のチップを入れ、チーズやうずらの卵などをセット。煙が出始めたら蓋をして、溝になっている淵に水を注ぐ。これによって煙が外に出ないから、食卓で使える。30分燻しただけでしっかりアメ色になっていた。

他にも見たことのない土鍋が続々。3分で温野菜が作れる「ヘルシー蒸し鍋」(大、1万800円)。そして一番人気は、釜戸で炊いたようなご飯が作れる土鍋「かまどさん」(3合、1万800円)。火加減の調整は必要なく、中火のままでOK。13分間熱したら火を止めて、余熱で20分蒸らす。できあがったご飯はふっくらツヤツヤ。お米のひと粒ひと粒が立っている。

かまどさんは土鍋としては異例の75万個を売り上げた大ヒット商品だ。

いつもの味をガラリと変えてしまうこれらの魔法の土鍋は、全て同じ窯元が作っている

その故郷は三重県伊賀市の山里にあった。「伊賀焼の里」と呼ばれる小さな焼き物の町にある長谷園。江戸時代末期の1832年創業で、185年の歴史を持つ老舗工房だ。現在の売上高は6億8000万円。

長谷園7代目当主長谷優磁は伊賀焼には一般的な焼き物とは違う特性がある」と言う。原料の土だ。

「蓄熱することができるし、保温もできる。調理器になったとき非常にいい働きをする」

地元で採れるこの土こそ伊賀焼の要。実は伊賀の里は400万年前、琵琶湖の底にあった。その土は古琵琶湖層と呼ばれ、生物の死骸や植物など多くの有機物を含んでいる。この土を高温で焼くと有機物が燃えて、鍋の中に小さな気泡が無数にできる。結果、発泡スチロールと似たような構造になり保温性が高くなるのだ。

print
いま読まれてます

  • 一見、普通の「土鍋」が異例の大ヒット。その驚きの理由は?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け