【えぇ!】まさか、あのお方が・・~タクシー運転手が一番驚いた乗降客とは

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感動の一コマからちょっとHな話まで・・・タクシーの車内という密室空間で繰り広げられる人間ドラマを、メルマガという形でこっそり教えてくれるのが、タクシー運転手の発行者がお届けする『タクシー運転手からの内緒話/番外編』まぐまぐ大賞2014の無料部門・日記・ノンジャンル大賞にも輝いた、このメルマガのバックナンバーから、今回はある日の深夜にお乗せしたという、超やんごとなき方とのエピソードをチラみせ!

まさか、あのお方が・・

タクシーをやっていると、まさかと思われるお客様をお乗せすることがございます。タクシー時代に一番印象に残っていることをお話いたしましょう。

それは秋も深まった深夜2時ごろのことでした。この夜は幸運にも立川で終電客を東小金井まで送り、その帰路でした。会社に帰るには五日市街道が便利で走っておりました。

小金井公園あたりだったでしょうか。左側の歩道を時々後ろを振り返りながら歩いているスーツ姿の男性が目に入ったのです。

「タクシーを探してるな」

そう感じ徐行したら案の定、手を上げタクシーを止めたのです。帰り道だし今日はツイてるなと思いました。

ドァーをあけ乗りますと

「八王子までお願いいたしますがあの~一万円でまいりますか」

八王子と申してもとても広いので

「お客様、八王子のどの辺ですか」

すると声が一段低くなり

「多摩御陵までなのですが・・・なにしろ終電車が途中で終わりましたので」

「そうでしたか、ハイ分かりました。中央線の高尾の手前です。料金はここからですと八千円程度だとおもいますよ」

「わたくし、よく存知ないのですが・・どの位の時間で着きますか。明朝7時前には千代田区まで帰らなければなりませんので」

どうも乗った時からどこかでお見受けしたお顔と思っておりましたが、まさか高貴な方がこの時間歩いたりタクシーに乗るはずがないし、たぶん似た人だろうと思っていましたが、ふと頭の中に

「上品な言葉づかい」
「多摩御陵」
「タクシーなれしていない」
「千代田区」
「明朝7時」

これらのキーワードでルームミラーでお客様を確認すると

「えっー、まさか!!・・・・・・・」

きっとこの方、何かとっても大きな悩みを抱え多摩御陵の天皇、皇后の墓参に人目を避けこんな深夜にきたのだろうか・・・・。私は心の中で今の状況をなぜか否定したかった。

やがて甲州街道から右に入り御陵参道に入っていくと

「こちらですね。御陵は・・ここでけっこうです。ありがとうございました。」

御陵の周りは深い霧に包まれその方の姿は霧の中へと消えたのでした。

 

information:『タクシー運転手からの内緒話/番外編』

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