セクハラや暴力も。高齢化問題が引き起こす、介護施設の壮絶現場

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新年度が始まったタイミングで、さまざまな分野の値上げもスタートしました。中でも、医療費と介護保険料の負担増は、政府が推し進めてきた高齢者の介護について「施設から在宅へ」の流れをさらに加速させる大きな節目になりそうです。メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者で健康社会学者の河合薫さんは、来たるべき超高齢化社会を前に噴出している看護師・介護士への嫌がらせやセクハラ行為が深刻化している現状を紹介しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年4月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

看護師・介護士へのセクハラと暴行

新年度がスタートし、値上げラッシュが始まりました。

  • 75歳以上の一部の人の保険料アップ
  • 入院時の食事代の自己負担額は1食100円アップし460円
  • 介護保険料も3年ぶりに見直され、65歳以上の保険料は平均で月数百円アップ
  • キリン、サッポロ、サントリーのビール値上げで、瓶ビール代が一割アップ
  • 松屋の「牛飯並み盛り」が30円アップの320円
  • 「おかめ納豆」のタカノフーズが27年ぶりの値上げで1~2割アップ etc etc……

賃金はちっとも上がらないのに、身の回りのものはアップアップで、懐は寒くなるばかりです。

中でも医療費や介護保険料の負担増は、診療報酬・介護報酬のダブル改定に伴うものです。これは国がこれまで取り組んできた「施設から在宅への流れ(地域包括ケア)」をさらに進めるもので2018年度は医療・介護施策における極めて大きな節目に突入したことを意味しています。

あと12年後の2025年。街はおじいちゃん、おばあちゃんで溢れかえります。人口のボリュームゾーンである団塊の世代が、75歳以上になってしまうのです。

現在でさえ、社会保障関係は31兆円を超え国家予算の約3分の1に達しているのに、2025年に介護費用は現状の約10兆円から21兆円に膨らむとされています。

さらに深刻なのが、介護士や看護師などの専門職も38万人超不足すると推定されているのです。

つまり、現状のまま進むと予算も専門職も足りず、医療も介護も、ひいては国家財政もパンク!!

国は「何とかして、限られた医療・介護資源の中で効率を高め、質も維持・向上させる!」とアレコレ政策を進めていますが、ホントに大丈夫か?

このままいくと現場にしわ寄せが来るぞ!というのが現状なのです。

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