自衛隊「日報問題」の背景に、「戦闘」という文字への過剰反応

2018.04.13
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2004年1月から2年8カ月に渡り「イラク復興支援」のために派遣された陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報問題が、森友・加計問題とともに政権の屋台骨を大きく揺るがしています。この復興支援に深く関わっていたという、メルマガ『NEWSを疑え!』の著者で軍事アナリストの小川和久さんは、日報に使われた「戦闘」という言葉が一人歩きして、必ず政治問題化することを指摘。どんなに小規模な戦闘だったとしても、その文字が使われただけで国会で追及されたりマスコミに叩かれる現状が、今回のような問題を生み出した可能性について持論を展開しています。

「日報問題」──平和実現のための戦史の重要性

イラク復興支援の時の日報問題が、安倍政権の足もとを揺るがしかねない騒動になっています。

4月5日の時事通信は次のように報じました。

陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が見つかった問題で、自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長は5日の記者会見で、『結果として、大臣、国会に対して背信的な行為を行ったと言われても仕方がない』と陳謝した

見出しには、「イラク日報背信的行為』」とあります。

これだけを見ると、まるで自衛隊トップの統合幕僚長までが自衛隊内部の不始末に憤っているようで、自衛隊を挙げて「総懺悔」をしている印象さえあります。

私は、このような見出しが先行しにくいように、河野統合幕僚長はもう少し言葉を足すか直ちに補足的な記者会見をする必要があったのではないかと思いました。

軍事組織である自衛隊の文書は、ほかの省庁の行政文書とは性格を異にするものです。現地の活動記録であり、軍事的には「戦闘速報」に位置づけられる日報にしても、それがまとめられて「戦闘詳報」となり、最終的には、平和の実現と国家国民の安全を図るために戦史を編み、教訓に学ぶという目的があるのです。戦史という言葉が嫌なら、自衛隊の活動の歴史的記録でもよいでしょう。

戦史が編まれるには、まず加工されていない生の情報があり、それを日報の形にまとめていきます。私が深く関わったイラク復興支援にしても、現地の指揮官である復興支援群長と陸上幕僚監部が常に情報を共有し、的確な判断を迅速に下せるよう、衛星回線を維持していた時期が続きました。

そうした音声によるやり取りは、当然、電子データとして記録されていなければなりません。日報とは関係ありませんが、私も復興支援事業に関するイラク側のニーズなどについて、復興支援業務隊とメールでやり取りをしましたし、それを日本の平和構築に関する記録の一部として残しています。

現地とのやり取りはもとより、日報に使われる用語にしても、国際的に首をかしげられることのない用語を使い、「戦闘戦闘として記述されるのが健全な在り方なのは、言うまでもありません。

ところが、そのように記された日報を公表すると、必ず政治問題化してしまいます。

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