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「老後は支出が減る」は大間違い。年金生活の破綻を防ぐ3つのポイント=牧野寿和

あなたは将来、年金をいくらもらえるのか把握できていますか?年金受給額は、現役時代の収入や家族構成、働き方によって異なります。安定した老後を送るために、現役のうちにチェックしておくべき3つのポイントを解説します。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)

プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

年金生活を破綻させないための重要ポイント3つ

今回は年金生活、つまり年金が主な家計収入として生活をする時に、定期的にチェックしておくべき3つのポイントについてお話しいたします。

<ポイント1:収入の推移のチェック>

最初は、収入についてです。

年金が家計の主な収入になったご家庭でも、その金額はご家庭ごとに違います。例えば、国から給付される公的年金でも、個人事業主や専業主婦だった方は「老齢基礎年金」がもらえます。

公務員を含むサラリーマンで、厚生年金の保険料を納めていた方は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」がもらえます。

その他にも、勤め先によって「厚生年金基金」に加入していた方は、その分、上乗せされた年金がもらえます。また、事業主だった方などで「国民年金基金」に加入していれば、その分ももらえます。

現役の間に、サラリーマンや事業主を経験された方の中には、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」、それに加えて「厚生年金基金」「国民年金基金」なども、もらえる方もいるでしょう。

年金生活を迎えるにあたり重要なことは、ご自身が現役の間にどのような公的年金に加入していたかを把握すること。そして、その年金をもらえる年齢になった時、受給の手続きを怠りなく行い、実際に受給される金額を相違なくもらっているかチェックすることです。

また、公的年金以外にも年金がもらえる方がいます。それは「企業年金」といって、勤務先によっては退職後10年間や20年間など一定の期間、または、その方が生きている間の終身、年金がもらえる制度のことです。「企業年金」がもらえる方は、ご自身が何歳まで毎年いくらもらえるのか、現役中に勤務先に具体的な金額を確認しておいてください。

また「公的年金」では、加入していた本人が亡くなった後に、配偶者に遺族年金がもらえる制度もあります。

「企業年金」でも、遺族年金の制度のある企業もあるようです。該当するようになった場合にいくらもらえるのか、こちらも確認しておきましょう。

その他に、保険商品を利用した、「個人年金」などを現役中に加入して、老後の生活に入ってから一時金や年金でもらう方もいます。

これらの年金収入は、必ずしも終身で定額でもらえる年金ばかりではありません。今後、何歳から何歳までは年間にいくら年金収入があるのか、一目でわかるように一覧表にしてまとめておくと良いでしょう。

また、その金額が変更になることがわかれば、直ちにその表を更新して、この後のチェック項目でもあります「支出」などの見直しも早急にしなくてはなりません。

Next: 支出の内容は変わるが総額はほぼ同じ? 現役と老後の違いとは



<ポイント2:支出の推移のチェック>

次に、家計の支出についてです。

年金生活に入ると、勤めていた時とは支出の内容が変わってくると言われています。

ただし、家計から出ていくお金の額は変わらないようです。人によっては、医療費や介護の費用がかさみ、現役時代より支出額が増えることもあるようです。

そこで、まず毎月いくら家計に必要なのか、年金生活に入ったら実際に使った金額を知ることが必要です。

合わせて、必要としない無駄使いはやめることです。例えば、子どもが既に独立して生活をしているのに、万が一の遺族生活保障のための必要以上の保険金をかけて、毎月保険会社に支払っている、死亡保険の保険料が当たります。

現役時代より年金だけの生活では収入が減るのが当然ですので、無駄な支出の削減をすることが必要です。

支出額も定期的に計算して、上記で見てきた年金収入の推移表に今後の見通しを含めて定期的に消費した金額やこれから使うお金を記入していきましょう。

<ポイント3:貯蓄・資産の推移のチェック>

現役時代の給与などの収入とセカンドライフに入ってからの年金収入の差額を埋めるために、現役の間にセカンドライフでの生活費のためや、使い道が決まらずとりあえず手元の現金を貯めていたご家庭もあるでしょう。

また、マイホームなど不動産や金融商品で資産をお持ちの方もあるでしょう。

お持ちの貯蓄や資産を年金生活でどのように使っていくか、または、後世のために残していくか。どのようにして、いくら使うか残すかは、ご自身やご夫婦のセカンドライフの生活をしていくうえで重要なポイントになります。

貯蓄は、ご自身やご夫婦の生活を成り立たせるために定期的に取り崩していく、その金額を決めることが先決です。

この金額も、上記の収支の推移表に書き加えていき、定期的に検証して、必要であれば貯蓄からの取り崩す額を調整しなくてはなりません。

また、資産をお持ちの方は、その資産をどの程度までご自身や夫婦で消費して、その後にどのくらい後世に残すのか。時には、相続税の納付額も絡むこともあり、慎重に決めることも必要です。

なお、後世に資産を残す、いわゆる「相続」は、何もご自身が亡くなってからしなくてはならないことはなく、相続を受ける子どもが一番必要とする時期にするべき。つまり、相続の適齢期にできれば、相続の効果があるでしょう。

Next: 老後にヒマになるとは限らない。「その時」が来る前にご準備を



年金生活も忙しい

ここまで、年金生活で確認すべきポイントを3つ挙げてみました。

お気づきの方もあるでしょう。年金生活は現役時代の続きで、場合によっては現役のとき以上に、お金のことをすべてご自身やご夫婦で管理していかなくてはなりません。

歳を追えば、老化の現象も出てくるでしょう。

何かあれば、その時になってから考える。現役の間は、それでも良かったかもしれません。歳を取ってからは、経済的な難題が降りかかってきた時に、身体の面や、また資金の面から、スピーディーに行動することは不可能になりかねません。

難儀な行動をしなくても良いように、年金生活になっても家計の収入と支出、それに貯蓄や資産の定期的なチェックが必要です。

したがって、年金生活も忙しいのです。年金生活では、心身と家計の健康の維持が大切です。

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image by:Princess_Anmitsu / Shutterstock.com

【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2021年1月13日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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