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“自粛警察”な人ほど貧乏になる。「会食叩き」が示す思考停止とは?=午堂登紀雄

日本は確実に「思考停止社会」に向かっています。コロナ教に染まった人たちは、会食する人を糾弾し、「マスクは鼻まで覆え」など経典の普及に余念がありません。政治家や経営者たちは未来に備え、自ら不要不急かどうかを判断して会食をしています。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)

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プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

リスク回避に全力を注いできた

私は人一倍リスクには敏感で、たとえば近隣を流れる河川の氾濫に備え、川に設置されたライブカメラ映像をブックマークし、台風やゲリラ豪雨の日はそれを注視しながら行政の避難勧告が出る前に避難する意識でいます。

自宅は地震に備え、構造は重量鉄骨で地盤改良にお金をかけましたし、水害も考慮し火災保険はフル補償をつけ、水や食糧などの災害備蓄も約3か月分あります。

屋根につけている太陽光発電システムは自立運転機能があり、電気が止まっても家電を使えます。

車は雨でも雪でもスリップしにくいよう4輪駆動車で、前後にドライブレコーダーを設置し、信号のない交差点では死角用フロントカメラで確認するほどです。その車の中にも懐中電灯を備え付けています。

ニュースの事件・事故にも敏感で、常に自分ならどうするかを考える習慣があります。スカイダイビングとか命の危険にさらされる遊びはしないと決めていますし、川遊びもしません。特に川では毎年のように死亡事故が起きているからです。

歩いているとき、雨の日は急いでいても歩きます(雨の日に走って地下鉄の階段を降りようとして転落し動かなくなった人を見たことがあるため)。

赤信号の横断歩道では、暴走車が突っ込んでくるリスクを回避するため、道路から2、3歩下がって待つようにしています。

なのに横断歩道で「俺は歩行者だから優先だ!車は譲れ!」と主張するかのごとく車で来るこちらをまったく見ないで渡る人がいますが、視覚を放棄するのはリスクマネジメントよりも虚栄心が強いのでしょう。

同様に、イヤホンを耳にしてスマホを見ながら歩く・自転車に乗るという人もいて、リスク察知やリスク回避に重要な視覚も聴覚も両方を放棄するなんてある意味すごいなと感じます。

そして以前も書いたことですが、私は2020年1月21日というまだ日本ではコロナが騒がれていない段階で「感染拡大は避けられないため人混みを避けますよ」という宣言をツイッターに投稿し、自己隔離しました。周囲からは「早い!」と言われますが、命と健康は最優先だからです。

無駄に恐れる必要はない

一方で、リスクだけではなく、リスクとリターンのバランスを自分なりに考慮しています。

たとえば横断歩道。赤信号でもまったく車が通っていなければ渡ります。外を歩くときはマスクは外します。今でも人混みや不特定多数の人がいる場所には近づかないものの、週末は子どもたちと普通に外出します。

信頼できる仲間(といってもほぼ起業家・経営者・経営幹部)とは会食もしています。実際、私が住んでいる自治体が発信している感染者情報を見る限り、感染者のほとんどは「会社員」であり、経営者や自営業者は少ない印象です。

もっともこれは地域性による偏りがあるし、そもそものトータルボリュームが違うので確率から当然かもしれませんが、これも日常のリスクマネジメント意識の差のような気がします。

だからというわけではありませんが、マスクの素材がどうとか(不織布マスク以外は禁止する店舗・施設が増えているようです)、マスクから鼻が出ているとか正直どうでもいいと思います。

素材に関係なく人前で咳やくしゃみをしなければいいだけだし、そもそも鼻はしゃべらないから飛沫も飛ばないでしょう。

リスクだけしか見なければ行動できなくなりますが、リターンや機会損失とのバランスで見れば、「ここはこうしよう、あっちはああしよう」という幅広い選択肢が出てきます。

Next: コロナ教に染まってない? 不要不急かどうかは自分が決めること



不要不急かどうかは自分が決めること

それに、行政や医療関係者、あるいは高齢者や基礎疾患保有者にとってはコロナは重要かもしれませんが、個人の人生における重要事項はコロナだけではありません。いやむしろ「コロナはまったく重要ではない」と言い切るぐらいでちょうどよいとさえ感じます。

コロナ対策が生活の最上位だと考えてしまうと、そのほかのことに目が向かわず、チャンスすら「コロナが怖いから」と逃してしまうことになりかねない。

そしてコロナ教に染まった人たちは、会食をしたりする人を糾弾し、「マスクは鼻まで覆え」などと、経典の普及に余念がありません。

こういう人は、「自分にとっての不要不急は他人も不要不急であるはずだ」「自分の正義を周囲が実現すべきだ」「ルールを守ることが正義だ」「政府・行政の言うことには従わなければならない」という強固な固定観念に支配されています。

彼らは他人の不謹慎・不道徳(に見える)言動がガマンできません。自分が気に入らないものはスルーできない。それが本人の考えの押し付けかもしれないと疑問を持つこともなく、むしろ正しい行為だと信じています。

自分の価値観で「他人を攻撃する」人々

そしてこれが気持ち悪いと私が感じるのは、現実社会で承認欲求を満たされていない人ほど他人を攻撃・非難・批判する傾向があり、本人はそれが時間の無駄だとかそんなことをやっても一円にもならないことに疑問すら抱かない点です。

承認欲求が適度に満たされている人は、他人の言動には比較的寛容で(というかほとんど気にしない)、いちいち目くじらを立てることはありません。

他人を批判・非難することで得られるものは何もないからです。他人に強要することは、自分の価値観の押し付けという身勝手な行為だと、本能的に理解しているからです。

一方、満たされない不平不満は、他人を貶めることで溜飲を下げられる効果があります。サラリーマンが居酒屋で上司や会社の愚痴を言うのも、そうやって吐き出しストレスを発散させるでしょう。

つまり、そうしたくなる(せざるを得ない)本人の状況がある。彼らにとって他人を批判することは、満たされない承認欲求を慰められるという「リターンがある」からやっているのです。彼らにとっては時間の無駄などではなく、必要な時間であり必要な行為。

もちろん本名で面と向かって言う度胸はありませんから、ネットで匿名で他人に難癖をつけるのは、溜飲を下げ自尊心を維持する格好の方法です。

なのでたとえばヤフーニュースの経済・芸能・生活関連のニュースの下部に出ているコメント欄を見てみると、いったいどういう生き方をすればそういう残念な発想が出てくるのか不思議なくらい、「へ?食いつくのはそこ?」「もうちょっと建設的な考えは浮かばないの?」という感じのコメントが炸裂しています。

一方、たとえば外交絡みなどのニュースのコメントには「なるほど、そういう視点はなかった」「そういう出来事や事情があったのか」と気づくこともあるので、全部が残念というわけではありませんので念のため。

そんな書き込みをするヒマがあるなら、現実世界が満たされるように努力すればいいのにと思いますが、そういう方向へは思考が向かわないのでしょう。

私もツイッターで難癖メッセージが来たとき、時間がないときは無視しますが、ヒマなときは一緒に遊びます(一日中集中も仕事もできないですしね)。といっても本気で相手するほどの価値はないのでおちょくるだけですが…。

Next: コロナ自粛は未来につながるか?経営者たちがいま考えていること



経営者たちは未来に備えて動いている

そしてコロナ教の信者はどうも、思考の時間軸が短いように思います。

なぜなら、「いま何をするか」という仕込みが「将来の収穫につながる」という発想がなく、萎縮し行動を制限することによって失う機会に鈍感だからです。

いまやっていることが、1年後あるいは3年後・5年後・10年後に結実するはずが、引きこもって何もしなければ実は成らないわけです。

企業経営者の多くは現在、業務改革や販売方法の多様化といった改革に余念がありません。新規事業や新業態開発も進めています。それはすでにアフターコロナ・ウィズコロナ・ニューノーマル時代を見据えているからです。

だから彼らは感染予防策をとりつつ出張するし会食もします。事業を継続させ雇用を守るための取り組みは不要不急ではなく、必要であり緊急です。いま変わらないと生き延びていけないからです。

コロナ教信者の自粛警察たちは困窮していく

「会食はダメだろう」「会食しなくても仕事の話はできるだろう」などという人は、会食することで関係が深まるという効能、相手の人となりや根底にある思想や方向性がわかり、提携や取引をするに足る相手かがわかるという効能を軽視しているのでしょう。

どの国もどの時代でも、どんなに文化や風習や価値観が異なっても、「人をもてなすには酒食の席を設ける」ことから、これは人間の本能に近いことのように思います(イスラム国家は酒はありませんが)。

しかしコロナ教の信者はそういうことには思考が及ばず、政府・行政の言うことに従順に従い、会社の方針に従い、ルールを愚直に守り、コロナ対策が日々の最優先事項として1日が過ぎていきます。

なので、私が格差が拡大すると主張するのは、起業家・経営者・富裕層は適切にリスク管理しつつ次の種を仕込んでいる一方、コロナ教信者には「失われた2020年・2021年」になるのが明らかだからです。

ただ、これは仕方がないことなのかな、とも思います。普通に会社に勤めていれば、現状を疑い自分を変革させようとか考えなくても、とりあえず生きていけるからです。

あえてリスクをとる必要もない。だからリターンとのバランスを考える必要もない。むしろリスクの方が怖いから、リスクしか見えなくなる。

自分の頭で考えるよりも、思考をやめて指示に従っている方がラクそして、ネットで誰かを叩いてもバレないし、そこそこ楽しい。

他人の意見・主義主張をこき下ろすだけの人と、そこから少しでも参考になるところや自分の生活に応用できる部分を見つけようとする人との間には、埋めようのない差が出ると思います。

まさに「生きている世界が違う」と言っても過言ではないくらい、ベクトルが違い過ぎる。永遠に交わることのない人種というのは、同じ日本人であってもこんなに多いんだな、と感じます。

Next: 情報を鵜呑みにするのは危険。日本は「思考停止社会」に向かっている



日本は「思考停止社会」に向かっている

それはともかく、大切なのは「問いを立てる」「抽象的に思考する」ことだと思います。

たとえば「政府の言うことはどういう場面で有効で、どういう場面ではそうではないのか」を問う。

観光地の知事は「他県から来るな」と言い、政府はGoToトラベルを推進するので「旅行していいのかわからない」などと、自分で旅行するかしないかすら決められない人がいました。これも密を避け、現地の人との接触を極力減らせば問題ないことがわかります。

あるいは大阪市で「5人以上の会食禁止」というメッセージが出たとき「なぜ4人はよくて5人はダメなんだ」などという反応をするのは具体の世界でしか考えられない人。抽象的に思考すれば「大人数がダメということで、人数は単なるわかりやすい目安」ということがわかります。

などと報道を見ながら思いましたが、日本は確実に「思考停止社会」に向かっているなあと危惧します。

コロナはそれを露呈した出来事のように思います。

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image by:SibRapid / Shutterstock.com

午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』(2021年2月1日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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