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金とは一味違う「銀」相場。短・中期的に上昇傾向も、問題はその先だ=田中徹郎

銀(Silver)に注目が集まっています。アメリカのSNSで個人投資家が銀を煽った結果、突発的に銀相場が急騰したようです。ここから銀相場はどう動くのでしょうか?注意すべきは、市場規模の小ささと、バイデン効果の見極めです。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)

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プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。

SNSマネー流入で銀高騰

ここのところ何年かぶりに銀(Silver)に注目が集まっていますね。アメリカのSNSで個人投資家が銀を煽った結果、突発的に銀相場が急騰したようです。

一時は1オンス=30ドルを上回りましたが、はやくも「SNSマネー」は離散し、今日あたりは
元の26ドル台まで戻しています。

Silver先物<COMEX> 月足(SBI証券提供)

過去を振り返ると、前回の大相場は2011年でした。

リーマン・ショックの2008年以降、世界的に中央銀行による量的緩和(紙幣供給拡大策)が進められた結果、紙幣に対する信認が薄れ、その対極にある金や銀が買われた結果の急騰でした。

2011年に一時50ドル近辺まで買われる場面もありましたが、その後は人気が離散し、昨年安値の14ドル割れまで鳴かず飛ばすの相場が続きました。

では、銀は今後どのように動くのでしょうか。

銀の市場規模は小さい

僕は短期と中期、2つの視点で見ておくべきだと思います。

短期的に銀相場を予想する場合、市場のサイズの小ささは理解しておくべきだと思います。

2018年の銀の需要は約32,000トンでした、同年の銀価格の平均は1オンスあたり約15ドルでしたので、金額に直すと約154億ドルです。

一方で金はどうでしょう、2018年の金の総需要は約4,000トン、これに対し同年の平均価格は1オンス=1,270ドルほどでしたので、金額に直すと約1,630億ドルです。

このことから同年の銀市場は、金の10分の1ほどしかなかったことがわかります。

市場のサイズは価格変動に影響を与えます。変動率がそのまま10倍になるわけではありませんが、
少なくとも、銀は金より相当大きく値動きする可能性があるといえるでしょう。

先日のSNSマネー流入による高騰も、銀市場の特徴がよく出ていると思います。

Next: 銀相場はどう動く? 2つの視点



ここから銀相場はどう動く?

<短期の視点>

短期的な銀市場の動きを予想する場合、市場参加者の思惑は大きな意味を持ちます。

なぜなら前述のように市場が小さく、ほんのわずかなお金の出入りで相場が大きく動くからです。

そのような視点で見ると、アメリカの新大統領バイデンさんが打ち出した、太陽光発電など再生可能エネルギーへのインフラ投資の持つ意味は重要です。

実際にバイデン効果が出はじめるのは、おそらく1年後、2年後といった先になるでしょうが、
「思惑のお金」だけでも相場は大きく動くでしょう。

上記のような理由で僕は、短期的にも銀の相場上昇は十分あり得ると思います。

<中期の視点>

では、もっと先をみるとどうでしょう。

たとえば2019年のデータをみますと、太陽光発電で使われる銀は、すべての銀需要の約10%を占めており、これは決して小さな数字ではありません。

しかも銀の太陽光発電需要のトン数は、特に2014年以降急速に増えつつあります。仮に「バイデン効果」が1年後、2年後になるとしても、実際に銀の需要が増える可能性は高そうです。

であれば中期的な実需の点からも、銀価格は上昇するとみておくべきではないでしょうか。

以上のような理由で僕は、短期的にも中期的にも銀の価格は上がりやすい傾向が続くと思います。

急騰は長続きしない?

ただし、過去の銀相場を見ますと急騰は長続きせず、わずか1年から3年ほどで元の水準に戻っていることがわかります。今回もその点には注意が必要です。

たとえば太陽光発電の銀使用料を削減する技術が進歩する可能性もありますし、他の安価な素材への代替が進む可能性だってあります。

もし運よく皆さんが銀相場で大きく儲けたとしても、過去の相場から見る限り長期間そこに居座ってはいけません。ご自分で定めた水準に達したら、速やかに退出するという方法を心がけるべきではないでしょうか。

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一緒に歩もう!小富豪への道』(2021年2月5日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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