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熊本地震で拡大する日本の財政出動 個別銘柄物色に変化の兆し=炎

5年前の東日本大震災の復興途上で起きた、今回の熊本大地震。株式市場でも、早速にこの出来事を横目に普段は見向きもされないような企業の株価が乱舞し、投資家がやや過剰な反応を示しているようにも感じられます。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)

プロフィール:炎のファンドマネージャー(炎)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。

大地震は我が国と東京株式市場に何をもたらすか

お見舞いの言葉

14日に起きた熊本の大震災で犠牲になられた皆さんに、心よりお見舞い申し上げます。災害は忘れた頃にやってくるとは言いますが、まさに起きてはならない予期せぬ出来事が起きてしまいました。

熊本には1年半前に平田機工への訪問の際に足を運び、とても印象に残っています。その際に熊本城のすぐ近くでお昼を食べた記憶があり、熊本城の土台が崩れてしまった様子を見ると、あのお店はどうなったのかと心配しております。幸いなことに平田機工の担当者からは無事だというメールが来ておりましたが、そのメールは14日の前震後のものでしたので本震でまたどうなったか心配ではあります。

今回は大きな余震が頻繁に起きていますので、その影響が懸念される状況です。熊本には日本の有力ハイテク企業や自動車産業の生産拠点が多数立地しており、インフラの崩壊で影響が長期化しそうな状況ですが、まずは命が大事。これから起きると言われている余震やそれに伴う土砂災害や建物の崩壊などに、本当に気をつけて頂きたいと思います。

日本はいつ・どこで地震が起きてもおかしくない地震国。東日本大震災から5年を経過して、改めて思い知らされました。熊本大震災の早期終息を心から祈るばかりです。

公共投資は改めて拡大路線へ

5年前の東日本大震災の復興途上で起きた、今回の熊本大地震。現在進行形で被害の拡大が続くと予想される中で、様々なことが報道されています。

その結果、株式市場でも、早速にこの出来事を横目に普段は見向きもされないような企業の株価が乱舞し、投資家がやや過剰な反応を示しているようにも感じられます。

テレビメディアは速報性のあるニュースをいち早く報道しようと構えてはいますが、この結果、同じ報道内容の繰り返しが続いています。皆さんも私も同じように久々にテレビに釘付けになっているのかも知れませんが、出来事を伝えるだけで、深堀りした内容にまではまだ至っていません。

災害報道では、NHKがまずはどう伝えているのかを見て、他局の番組を見ることになります。

その中で印象的なことは、政府の対応です。安倍首相の支持率が上がったようですが、安倍首相のリーダーシップぶりが記者向けのメッセージを通じて印象深く伝えられたことが、支持率アップの背景なのかも知れません。ですが、なぜこの時期にこの話が出るのかは謎です。

今回の大地震発生で、いよいよ財政の出動が本格化し、2年間の公共投資縮小から改めて拡大に向かう契機になると考えられます。

これで個別銘柄の物色の方向も決まりそうです。

Next: ドローン、非常用電源など幅広いニーズ/九州拠点の建設関連企業に脚光



ドローン、非常用電源など幅広いニーズ

地盤改良、橋梁、道路、神社仏閣、住宅などのキーワードとともに、報道ではドローンを使った映像が威力を発揮しています。また、停電の長期化で信号機が止まるなどの支障が伝えられ、非常用電源へのニーズも高まりそうです。

自衛隊の役割やありがたさ、地域連携、諸外国からのお見舞いの言葉、活断層、阿蘇山噴火、前震と本震、余震など様々な震災に関わる言葉が飛び交っています。自粛ムードへのスポーツ選手の反応も伝えられましたが、私たちが今できることは限られています。

株式相場は、こうしたテレビ報道やインターネットでの報道に影響を受けながら形成されます。

一方で、パナマ文書問題の行方や北朝鮮のミサイル発射失敗、伊勢志摩サミット、消費税増税をめぐる最終判断、7月10日の参院選挙(衆参同時となるか)の動向、円高の行方なども心に留めつつ株式相場の今後の物色の潮流を見極めて行く必要があります。

思わぬ円安なら、日経平均18,000円も

いよいよ3月期決算の発表が予定されています。決算内容も気になるところですが、大震災が国の疲弊につながる点からは海外投資家にネガティブな印象を持たれ、円安につながる要素もあります。

為替が円安に振れれば、株式相場は一気に18,000円どころまで急騰を演じる可能性もあります。果たしてこの先の行方はどうなりますか。今回の熊本大震災の衝撃は、日本経済にとってもどのような影響をもたらすのか。今後も皆様とともに注意深く見守りたいと思います。

九州拠点の建設関連セクター企業への関心高まる

投資家の銘柄選定は素早い。大震災がもたらす影響をネガティブなことよりも、ポジティブに見ようとします。九州に拠点を置く建設関連企業や、早くも復興に向けて活躍の可能性がある企業への関心が高まっているようです。しかしながら、内容を十分に吟味しないまま思いつきで飛び乗って、それこそ怪我をしないで頂きたい。

あくまでも自己責任となることは言うまでもないですが、この流れに乗り遅れたと感じる方も、じっくりと吟味する姿勢は必要です。とにかく、何事もあわてることはありません。

今回の大地震が熊本で起きたということで、熊本に本社や拠点を置く企業が活躍しそうだということはできますが、工場があるのであれば、施設に被害が発生したりしている可能性があります。十分に吟味が必要です。

Next: 九州に拠点を置く建設関連企業リスト



九州に拠点を置く建設関連企業リスト

1. コーアツ工業(1743)東証2部 時価231円
鹿児島本社、熊本に工場 橋梁工事中心

2. 太洋基礎工業(1758)JQ 時価663円
福岡支店、熊本に営業所
特殊土木工事と積水ハウス向け住宅地盤改良工事。テノックスと株式持ち合い

3. 日本乾溜工業(1771)福証 時価401円
福岡に本社、防災関連、先週末ストップ高

4. 松井建設(1810)T1 時価761円
社寺建築に実績豊富 九州にも支店 前期の業績好調

5. 不動テトラ(1813)T1 時価133円
地盤改良、業績ダウンで株価低迷。福岡支店、熊本には営業所なし

6. 富士PS(1848)T2 時価319円
先週末ストップ高で38万株の買い物残す
福岡本社 官公庁向けが大半。耐震工法に期待

7. 東亜道路(1882)T1 時価367円
独禁法問題で株価低迷。アスファルト乳剤の最大手

8. テノックス(1905)JQ 時価619円
地盤改良、基礎工事大手。40%出資のテノックス九州で事業展開
震災の終息後の活躍期待。バリュー株

9. 日本基礎技術(1914)T1 時価397円
地盤改良、基礎工事大手

10. 日特建設(1929)T1 時価425円
特殊土木大手。防災に強み。筆頭株主は麻生グループ

11. SYSKEN(1933)T2 時価333円
九州地盤の電気通信工事業者 本社は熊本市中央区

12. 西部電気工業(1937)T1 時価429円
九州最大手の電気通信工事業者 本社は福岡市

13. ヤマウ(5284)JQ 時価357円
福岡本社 土木中心のコンクリート2次製品メーカー。先週末にストップ高で終え155万株の買いを残す。前期は業績を大幅に下方修正。今期は回復期待

14. ヤマックス(5285)JQ 時価281円
熊本市中央区が本社 九州最大手のコンクリート2次製品メーカー。先週はストップ高で1096万株(発行済み株式数1158万株)の買いを残す。復興需要期待高まる

【関連】アベノミクスは死なず。日経平均は4~5月に底値をつけ上昇を開始する=伊藤智洋

億の近道』(2016年4月18日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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