650万円到達まで見せたビットコイン相場はどこまで上がるのか。この先、最大の危機は国が法定通貨との交換を止めるときで、それは2022年にやってきそうな気配があります。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年3月5日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
上がり続けるビットコイン
為替相場が緩慢な動きを続けているのを尻目に、ビットコインが対円・対ドルで大きく上昇し、とうとう対円では650万円を超える場面も見られることとなりました。
巷では「750万円から800万円に到達するのも時間の問題である」といった楽観論も出始めています。
もちろん需給の問題ですから、買い向かう投資家が増えれば、ここからさらに上昇することも決して否定できないものがあります。
しかし、ビットコインを始めとするどこの国にも属さない仮想通貨は、この先、中央銀行が発行するステーブルコイン(いわゆるCBDC)が発行されるタイミングで、とんでもない扱いを受けて無価値化に陥る可能性もありえます。
どこで利確して法定通貨に巻き戻すか。これが大きなポイントになりそうな状況となってきています。
デジタル人民元の登場が大きな転機となる可能性
中国はデジタル人民元のローンチを2022年には行う予定とされており、すでに実験的な利用も始まっています。
もしこのCBDCの発行に合わせる形で、既存の仮想通貨の法定通貨への両替を認めないなどという政策を打ち出した場合にどうなるか。
相場は一瞬にしてパニック状態に陥るであろうことが容易に予想されるものとなってきました。
Next: 一瞬で価値が消える可能性も。各国中央銀行の動きから目が離せない
金や原油はそれ自体が価値を持っている
金にせよほかの貴金属にせよ、コモディティの商品にせよ、それ自体が一定の価値をもっていますから、特定国の通貨と交換ができなくなると言われても、まったく価値を失うことはありません。
とくに金の場合はオリンピックプール2杯分しか世界に存在しないと言われていますし、工業製品にも使われる大事な貴金属ですから、人民元と交換できないとかドルと交換できないと制限を食らっても、まったく無価値になることはあり得ません。
しかしながら、ビットコインはどうでしょう?
一瞬で価値が消える可能性がある
テスラの車は買えるようですが、決済通貨としての機能は著しく劣っており、どんなに法定通貨ベースでの価格が上昇しても、それを両替できなくなれば一瞬にしてその価値は失われることになるのです。
「そんなことが本当に起きるのか?」と疑う方が多いのも事実ですが、デジタル人民元の発行で中国政府がそうした措置に出る可能性はまったく否定できず、いったん対人民元でそうした政策が実施されるとなれば、もう仮想通貨相場はパニック売りの嵐になる可能性も十分に考えられることになります。
FRBがデジタル通貨を発行した場合には、ここまで過激な話がいきなり飛び出すことはないのかもしれません。
それでも交換レートを一定に制限するといった旧札から新札への切り替え時の交換制限のようなことが起きれば、立ちどころにビットコインはその価値を失うことになってしまいます。
その制限内容次第では、まったく価値を失う「無価値化」の状況に陥るリスクさえあることは、かなり気をつけておかなくてはなりません。
すでにインド政府は仮想通貨の利用禁止を検討しているといいますし、制限を加える国が増えれば増えるほど、仮想通貨の価値が削がれる危険性は高まります。
「インフレヘッジにはビットコイン」などという声もよく聞くようになりましたが、それ以前に、とんでもないリスクを抱えていることだけは、しっかりと理解しておかなくてはなりません。
Next: 2022年が近づくほどにリスクは高くなる。今のうちに非常口の確認を
中央銀行デジタル通貨の発行が既存の仮想通貨を終わらせる危険性大
恐らく、こうした特定国の中央銀行や金融当局からの制限報道が出始めると、ビットコインをもつ個人投資家が一斉に出口に殺到して売りが嵩み、驚くほど価格が下落する場面を見ることができるものと思われます。
今ビットコインをお持ちの方は、どこで売却するかが非常に大きな問題になってきそうです。とにかく、あまり引っ張らないことをお勧めしたい状況です。
2022年が近づけば近づくほど、このリスクは大きく顕在化してくることになるのでしょう。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2021年3月5日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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