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仏政府・ルノーの「日産乗っ取り」は日本人幹部の勘違い?ゴーン側近の証言なぜ報道されぬ=房広治

日産自動車の元役員で、ゴーン氏の側近だったグレッグ・ケリー氏による主張が今月23日のAP通信で報じられた。しかし、日本のメディアはほとんど触れていない。彼の主張には一貫性があり嘘をついているようには見えないが、日本で報道されないのは、検察に睨まれることを嫌ってのことなのだろうか?(『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』房広治)

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ゴーン氏は日産の独立性を守ろうとしていた

5月26日、日産の元役員グレッグ・ケリー氏の記事が一斉に英語でいろいろなメディアに取り上げられた。元々AP通信が23日に配信した記事が、ほぼそのまま転載されている。

ケリー氏によると、日産の日本人幹部たちが、「ルノー出身のカルロス・ゴーンとフランス政府と一緒になって、日産を乗っ取ろうとしている」と勘違いをしていたらしい。

実際には、ゴーン氏は、日産をルノーの子会社にする計画はなく、独立性を持たせたアライアンスを目指していたのにも関わらずという趣旨であった。

また、ケリー氏は、「ゴーン氏は、当時、世界の自動車業界で一番有能と思われていた経営者だった。そのため、日産とルノーを引退した後で競合他社に行かれると驚異となるため、しばらくは日産との顧問契約を結ばせるのが日産のためになると考えた」と述べている。

検察に配慮?ゴーン氏に有利な情報を報じぬ日本メディア

不思議なことに、日本のメジャーなメディアは、どれもこのような記事を掲載しないのである。日本の検察を恐れているのだろうか。

ケリー氏の発言も、ゴーン氏を追い出した側の主張も、すべてを報道するべきではないだろうか。

海外メディアの報道を見る限りでは、ケリー氏の当時の考え方の方が常識的で、追い出した側の人々は実力がないので、保身のために日本の経産省や検察を使って追い出してしまったように見える。

Next: ゴーン氏が去ったあとの日産にガバナンスはあるか?



ゴーン氏が去ったあとの日産にガバナンスはあるか?

東証がコーポレートガバナンス・コードを改訂したことが話題となったが、本当のガバナンスがゴーン氏が逮捕された後の日産にあったかと言えば、怪しい。

トヨタやホンダとの差がどんどん広がって行っているように見える。ゴーン氏がリーダーシップをとっていた時には、トヨタとの差を縮めていた。

株主からみれば、どちらの方がガバナンスが効いていると言えるだろうか。答えは、株価の動きを見てみれば明らかである。

日産自動車<7201> 週足(SBI証券提供)

FT(フィナンシャル・タイムズ)は23日、以下のように掲載した。

A crucial additional question is whether he would actually have provided services for his post-retirement compensation.

In January Toshiyuki Shiga, Nissan’s former chief operating officer, testified that he was told by Ghosn to think of ways to receive the unpaid remuneration after retirement. He took it as a directive from his boss even though he was aware of “the legal risk” of not disclosing it. 

The change in Japanese rules coincided with French government pressures to cut Ghosn’s pay and reduce his influence as chief executive of Renault, which is 15 per cent owned by the French state. Ghosn grew increasingly frustrated with both the French government and his pay, Kelly told judges last week. 

“There was a time in July or September that he was very seriously considering retiring at the age of 60 [March 2014],” the former head of legal affairs said. “If he retired at 60, he was still a young man and he could have a full-time role as the top executive at any auto company anywhere in the world.”

Worried that Ghosn would leave Nissan, Kelly said he consulted with Hiroto Saikawa, Ghosn’s handpicked successor as chief executive. They agreed that Nissan should consider a post-retirement payment for Ghosn through a non-compete and consulting arrangement. 

In February Saikawa, who stepped down as Nissan chief executive in late 2019, also said he shared the view that Ghosn had become a retention risk, adding that it was not surprising that “a person of such huge achievement” would be in high demand.

“His [Saikawa’s] view was that he was worth $100m over a period of years,” Kelly said. “Many of Nissan’s best ideas had come from Mr Ghosn. If he came up with two ideas worth $50m, and I knew he would, he would pay for the contract.”

According to excerpts from statements that Ghosn made to prosecutors, the former chair said he never asked for the post-retirement contract and he did not find the terms desirable so there was no formal agreement with Nissan on his deferred compensation.

The case continues. 

出典:The contradictory versions of Carlos Ghosn on trial in a Tokyo courtroom – Financial Times(2021年5月23日配信)

ケリー氏によると、追い出した側の西川氏も「ゴーン氏は1億ドルを払うだけの仕事ぶりであった」と考えていたということだった。

また、ゴーン氏が社長だった時代、日産の最高のアイデアの多くはゴーン氏が発案したものだという。さらに「もしゴーン氏が5,000万ドルの価値がある2つのアイデアを出せば(私はゴーン氏がそういう実績を残すと確信していたが)、それなりの金額を払うべきだとする契約をしただけだ」とケリー氏は述べている。

もっともな意見であり、発言に一貫性がある。ケリー氏が嘘をついているようには見えないのだ。

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image by:anon_tae / Wikimedia Commons

房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』(2021年5月28日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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